私は死んでもいいやと、いつも心のどこかで思っていた。
死に場所を探してフラフラと旅をしている時に君に出会ったんだよ、出夢。
君は本当に底抜けに戦闘馬鹿だ。
でも君はとても優しかったね。

「ゆうこ!」

君は私に生きる理由をくれた。
『そんなに死にてぇなら僕のためにその命、使ってよ。ぎゃはは!!』
君のために自分の命を使うだなんて、その時は意味が分からなかったんだよ。
でもその意味は今、分かった気がする。

「ゆうこっ!」

君は私の光だったよ。
君が殺し屋で、とても凶暴なことは十二分に知っていた。
それでも君は私の光だったのさ。

「ゆうこっ…!死ぬな!!!」

一緒に買い物に行った日
一緒に晩御飯を作った日
一緒に映画を見ていた日
一緒に寝ているだけの日
一緒にふざけ合ってた日
一緒に泣き明かしてた日
一緒に笑転げて疲れた日
一緒に愛を伝え合った日

「ねぇ、…私の中の全てが、出夢だったんだよ…?」

私の命は出夢のために使う。
そうあの時決めたんだ。
でも残念だ。
ああ悔しい。
私の命ってやつはここまでみたい。
私はこの化け物に殺されてしまうらしい。

「ゆうこっ…もう喋るな…!」

私は無様にも内蔵を撒き散らし、この広い体育館で大の字になっていた。
橙をぶちまけたあの化け物が私を見ることすらせずに突っ立っていた。
ああ出夢、どうか泣かないで。
私は君の笑った顔がどうしようもなく好きなのさ。
君はこんな状態の私でも遠慮なく抱きしめてくれた。
ああ、やっぱり君のことがこんなにも愛おしい。

「出夢、ありがとう」

最後の声はどうやらはっきりと伝わったようだ。
出夢が歪めていた顔を更に歪めてしまったから。
君のために私は消える。
だからどうか、生きていて。
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