「マンネリかも」

情事後に彼女に腕枕をしてやっているとゆうこはぽつりと呟いた。
俺のバリエーション、なさすぎ…?
彼女は今まで満足していると俺は思っていたが実はそんなことなかったのか?
確かに俺は人を殺すためによく外出をしているしこいつが俺に飽きるのも時間の問題だったのかもしれない。
信じたくはないが仕方がない。
いや自業自得だ。
まさに傑作ってやつかもしれない。

「…ごめん」
「なんで人識が謝ってんの」
「は?」
「……は?」

互いに話が通じない。
まずこいつの発言に主語がないのが問題だった。

「ハムスターの大五郎の話なんだけど」
「あ、…そっちか」
「どっちだよ」

前からつっこみたかったけどハムスターに大五郎ってかわいそうだろ。
酒かよ。
動物虐待だろ。

「大五郎が私の顔見ても笑わなくなったの」
「ハムちゃんは笑わねーだろ」
「微妙に笑うんだよ。ま、人識にゃわかんないだろうけどさ」

大五郎はゲージの中から俺たちをじっとみている…気がした。
大五郎も一人じゃ寂しいだろうから出してやるか。
俺は腕枕していた腕をどけて布団から這い出た。

「服着なよ」
「めんどい」
「えー…」
「そんなに俺の裸見るの恥ずかしいのかよ。もう何回も見てるくせに」
「それはそれじゃん」

ゆうこは布団にくるまってそっぽを向いてしまった。
ゆうこの頭を撫でてから大五郎のゲージに向かい、大五郎を出してやった。
結構かわいい。
手に収まる感じが何とも言えず癒される

裸のまま仁王立ちで手の中の大五郎をじっと見ていると、大五郎が一瞬笑った
いや、笑った気がした、だ…

「ゆうこー、大五郎が笑うっていうのわかったかも」

返事はない。
大五郎をゲージに戻してゆうこの顔を覗いたところ、ゆうこは爆睡していた。

「…アホ面」

こいつが寝てる間に零崎でもしてこようか。
服を着てから手にとったサバイバルナイフに、笑う大五郎が反射していた。
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