彼女でござる 花のJKでござる [6/7] 足元から解(ほど)けていく薄闇を纏って窓辺に寄り、私は部屋の空気を入れ換えるために窓を開け放った。 ひんやりと冷たい空気とゆっくりと明るくなって行く様子は私にとって目覚まし代わりで、冷たい空気を思い切り吸い込むと、ぼんやりした頭がだんだん冴えて来る。 「さーてと。やるか……ん?」 再び窓を閉め、机に向かう私の後ろをちょろちょろ着いて回るジルバ。 「……ふふっ」 さっきまでベッドの足にゴンゴンしていたのが嘘のようなスムーズな動きに、私は思わず笑ってしまった。 時刻は朝の5時半過ぎ。 早朝にも関わらず、ハルとジルバのW攻撃による目覚ましのお陰で、私は今日もきっちりいつもの時間に起床することが出来た。 「えーと、昨日の続きは……」 ほら、あれよ。 夜更かしして勉強するよりも、朝一番に勉強するほうが頭に入るって言われてるじゃない。 実際に実行してみたらまさにその通りの気がして、私は小学生の頃からこの習慣を続けている。 もちろん、長時間は集中力が続かないらしいから、きっちり一時間だけね。 一時間だけだけど、私は毎朝、決まった時間にちゃんと机に向かっている。 この辺りが私がお嬢様になりきれないとこでもあって、私ってば、目や耳に入る情報に流されまくりだ。 「……んー、やっぱ取っ掛かりが解んないな」 あと、この事あるごとに独り言を言っちゃう癖もそう。 深窓のお嬢様なら静かに勉学に励まれてるはずで、私みたいにうるさいお嬢様なんていないはず。 そんなこんなで、机に向かうこときっちり一時間後。 「ん?」 足元をうろちょろしていたジルバが役目を終え、自力で所定の場所に収まった。 「かっ、かわいい……」 これこれこれ。 ハルが家に来るまでは、このジルバの仕種(?)に癒されてたんだよね。 自分で意思を持って床の上を這い回り、用が済んだら自分の家(充電スタンド)に戻るだなんて機械じゃなくて、ペットそのものじゃない。 掃除機だけに、正直、それなりに音はするけど、それも目覚ましなんだと思えば気にならない。 「よしっ、次はジョギングだ」 ジルバがピットインしたってことはちょうど一時間経ったってことで、私は次の日課をこなすべく、ジャージに着替えて家を出た。 [*前へ][次へ#] 7/8ページ [戻る] [TOPへ戻る] |