とある海辺での出来事
夏の終わり頃だった、私は海辺で1人の男性に出会った。
「‥‥あの大丈夫ですか?」
私が声をかけたその男性は片眼が見えにくいのかフラフラした様子だった。
「大丈夫だ、ちょっと眼をやられちまって見えにくいんだ。」
そう言って男性はまた歩きだそうとするがとても大丈夫そうには見えなかった。
「‥‥あの、私に掴まってください」
そう言って私は男性の手をとり送ってあげた。
「‥‥すまなかったな、でもありがとう助かったよ。」
そう言って会釈をすると男性はフラフラと街並みに消えていった。
私の心はその時完全にその人に向いていた。
「え、好きな人が出来たの!!!?」
友人に話せばびっくりしたような反応が返ってきた。
「う‥‥うん、でも名前も知らないんだ‥‥1度っきりしか会ってないの」
そう私が言うと友人はガクッとうなだれてから私に言ってきた。
「‥‥一体どんな人を好きになったの??」
私は全ての経緯を友人に話した。
「なるほど‥‥、なんだか怪しいわ」
友人はそう言いながら頷いていた。
「え‥、でも悪そうな人ではなかったよ‥‥。」
私は友人にそう言ってふと海辺に眼を向けた。
(あ‥‥)
そこには、この間出会った彼がいた
「ごめん、私行かなきゃ」
私は友人にそう言ってカフェテリアを後にした。
もう一度彼に名前を聞きたかったからだ。
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