「あ、ひとまずここは自己紹介からしましょうか」


メガネを整え、立ち上がると「よっ、幹事役{emj_ip_0792}」と合いの手が入る。


「銀さん、合コンじゃないですよ…えー、僕は志村新八。ここの…まぁ、従業員ですかね。とは言ってもまともにお給料も貰ってないんですが。ね、銀さん?」


そう言って坂田さんを見ると、同時に坂田さんは視線を明後日の方向に向けた。


「僕の事は好きに呼んで下さいね」


と優しく笑ってくれた。


「ハイハイ{emj_ip_0792}次、私ネ{emj_ip_0792}えー、コホン。私の名前は神楽ちゃん{emj_ip_0792}」


右手を高く挙げて彼女は元気に喋り出す。


「この万事屋のアイドル的存在アル。そしてこの子は定春」


ワン{emj_ip_0792}と大きな犬も返事をしてくれる。「どしたアルか、定春」その声に定春君を見ると私を見て涎を流して入る。「銀ちゃん、ちゃんと定春にご飯あげてヨー。とうとう人間を餌と思う様になったアル。定春、めっ{emj_ip_0792}」神楽ちゃんは定春君の頭をポカっと叩いた。どうやら犬には私が何者なのか分かっているようだ。何か魚の臭いがするのかな。


「最後は俺だな。俺は坂田銀時。一応ここのオーナーみたいなもんだ。困った事があったら何でも言ってくれな」



知ってる、みんな全部。今まで一生叶う事の無いと思っていた事に思わず顔が笑っていた。


「とは言っても銀さん。彼女、自分の名前も分からないんですよ。まずこういう時は仮にでも名前を決めてあげた方が良いと思うんですけど」


名前、そんなもの私には無いのだけれど。どんな名前が普通とか変とかも分からない。


「何かこんな名前だったかもー?とか心当たり無いあるカ?」


「ごめんなさい。特に名前に関しても思い出せるものが無いみたいで…」


そう告げると3人は同時に顎に手を当て、何かを考え始めた。


「…{emj_ip_0792}お通ちゃん≠ニかどうですか{emj_ip_0793}有名なアイドルと一緒だからみんなすぐ覚えられると思うんですよね」


「却下」


坂田さんが間髪入れず拒否をした。「ぱっつあん気持ち悪いわー。そんな名前付けてこの子を2.5次元からリアル化しようと考えてんだろ?はい、ダメー」と厳しい批判をした。


「なら銀ちゃん{emj_ip_0792}あん子≠ヘ?子も付いて女の子の名前アル!美味しい名前ネ」


「それも却下。いいですか神楽ちゃん。彼女は女の子ですよ?一歩間違えてごらんなさい。もうそれは公然わいせつ罪に並ぶえらい名前になりますよ?そんな卑猥な名前はいけません」


ダメ出しを貰った二人は頬を膨らませている。


「じゃ銀さんはどんな名前が良いんですかっ{emj_ip_0793}」












「俺だったら…なまえとか」


なまえ…


「どこからそんな名前が出て来たネ。まさか昔の別れた彼女とかの名前じゃないアルな?」


神楽ちゃんが何か面白いものを探る様にニヤニヤしながら問いかける。


「バッキャロー{emj_ip_0792}違いますぅー。…なんだ、急にこの名前が頭ん中に入って来たんだよ。特に理由もねぇが。…どうだ?気に入らねぇか?」


「綺麗な響きですね…気に入りました{emj_ip_0792}」


「そっか、なら良かった」


私の笑顔に坂田さんが微笑み返してくれた。ここに私、なまえがうまれた。



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