バッド・エンド







決行当日。
真選組のメンバーは指定された場所で待機をしていた。山崎率いる監察組は取引場所より高いビルの上から近藤さんに状況を随時報告する。その近藤さんや沖田君率いる突撃部隊は密売人を、私達は取引相手を確保する事を任された。



「…ぶぇっくっしょん{emj_ip_0792}」


「おい、くしゃみとかすんなよ。バレるだろうが」


「あー、すんまそん」



あー、こんな日に鼻がつまるとか。ポケットに詰め込めるだけ詰め込んだティッシュももう底を尽きかけている。密売が行われる時間まであと30分程だ。




「…」



「…」



「…」



「…おい、何か喋れよ」



無言に耐えかねた土方さんが負けた。



「う◯こ」



「小学生か、お前は」



くしゃみをするなとか、喋ろとか何なんだ。「じゃあ、土方さんが何か喋って下さいよー」と言い返すと、「最近のお前なんか変だぞ」と目を合わせずに告げられた。「普通でいいんだよ、お前は。いつもと一緒で」そう続けて言った土方さんの横顔は何故か寂しそうだった。私はスッと立ち上がり、



「…私ちょっとトイレに行ってきます」



「この流れで{emj_ip_0793}このタイミングでトイレ{emj_ip_0793}う○こっつたのも本気だったのかよ{emj_ip_0792}」


クルっと方向転換して歩き出すと、「待て{emj_ip_0792}俺も行く{emj_ip_0792}」と土方さんが立ち上がった。


「え?まさか女子のトイレに付いてくるつもりですか?いくら副長と言えども私そんなプレイに興味無いので」



平隊士に目をやると、皆が冷たい視線を土方さんに向けている。「ほら、みんな引いてますよ。ちょっと行ってきますから、じゃ{emj_ip_0792}」手を顔の高さまで挙げ、ヒラヒラとみんなに振る。








「おい{emj_ip_0792}…早く戻ってこいよ」











「…なるべく早く帰って来れる様に頑張ります」




小走りでその場を逃げた。曲がり角でみんなが見えなくなった事を確認する。誰も付いて来ていない。私はそれを確認すると走り出した。



どこか無いかなー。いい感じの草むら。いや、草むら自体無いか。なぜならここは何年も前に廃墟と化した元薬品工場の跡地なのだから。



「?」




しばらく進むと小学生位だろうか。全身白い服を身に纏った女の子がしゃがんで泣いていた。こんな人気の無い所に子供?山崎達が居る高台から見てもここは死角だ。走るのを止め、道端に座り込む彼女に近づき私は声をかけた。


「こんばんはー。どーしたのー?こんなところで。パパとママはー?もう遅い時間だよ?」


優しく声をかけても泣き続ける彼女。しばらく泣くと落ち着いたのかその声は小さくなっていった。今なら会話が出来ると思い、今一度同じ事を聞いた。


「パパとママは?どーしたの?」


「…パパとママいないの。いっしょじゃないの」


ぐずりながらもそう彼女は答えた。「自分のお名前分かるかなー?」覗きこむ様に問う。顔を見られるのが嫌なのかなかなか顔は上げてくれない。


「なまえわからない」


「…そっか。…一人でここまで来たの?」























「…一人では無い。我らの主人が貴様を待ち望んでおられるぞ」










後ろから急に声がした。徐々に嫌な気配は増えて行く。5人?いや、7人だ。




「あれー、新しいタイプのフラッシュモブですか?私サプライズされた側ですか?」



立ち上がり振り向むくと女の子と同じ白い服を着た連中が立っていた。小さい女の子も立派な戦闘員だったか、その連中の中に加わった。



「小さいのに演技派だこと。まんまと騙されちゃったよー」





勝てるか?相手は全員で8人だ。

やれる、私なら、大丈夫。やれる。


















「副長どちらへ?」



「あいつが行ってもう15分経つぞ?ちょっと様子を見てくる。お前らここを頼むぞ」


「分かりました」













「チッ、あのバカ」


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