まったく知らない場所での赤子生活から一転。 周囲環境を含め、よくわからない成長を遂げました。 家族 「ミ、ミュウツーさん?」 「(…)」 ここ数年で過ごし慣れた家。 私は、少し成長した身体を振り向かせて窓向こうにいる家族?に声を掛けました。 はい。お名前通りの彼です。 偶然にも、0才の時になぜか私の目の前に現れた彼。 他にもいくつか見たことあるような『モンスター』たちがいつの間にか傍にいたけれど、初っ端がミュウツ―さんだったのであまり驚くことなく済みました。 と、そんなことを思い出していれば、ミュウツーさんがこっちに来た。 その腕にはたくさんの木の実を抱えてるようだ。 「あ、ありがとう」 ぼと、とぞんざいに渡された木の実。 …おおう。 たくさん、ありがとうございます。 私は、手渡された木の実にやんわりと笑いながらお礼を伝える。 すると、彼はその不思議な手でゆっくりと頭を撫でてくれた。 お礼を伝えた際、ふいと顔を背けられてしまったけれど。 ここ数年でこの態度が彼なりの優しさだということに気づいているので、頬がゆるりと柔らかくなってしまう。 わしゃわしゃと揺らされ続ける頭。 触れている手はひどく優しい。 私はもう一度「ありがとう」と伝えると、もらった木の実を近くの籠に仕舞った。 「まだ出たらいけない?」 「(……)」 彼の顔を見上げれば、小さく横に振られる顔。 どうやらまだ、外出許可は下りないらしい。 そう。彼は何故か私をこの家から出そうとしない。 けれど、それはずっとではないらしく、出ていい時期があると言外に伝えられた。 「そっか」 「(……)」 「大丈夫、気にしてないよ」 ひょい、と抱え上げられた身体。 成長したとはいっても、まだ一ケタ前半年齢の身体では、ミュウツーさんにとって私は小指で持ち上げられる重さらしい。 私を抱え上げたまま、彼は書庫部屋(と呼んでいる0才時代を過ごした部屋)へと入っていった。 「…まだ、本読むの?」 「(……)」 言外の彼の言葉は絶対。 私は彼の顔を見上げて、ぽすりとひとつため息を漏らした。 (…よ、読むよ) (「……」) (フ―ディンさんが今日のご飯係?) (「……」)