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アンドロイドちゃん[ジン]




「仕事だ」

その一言が、私を起動させる。システムロック解除。音声システム問題なし、視覚システム、聴覚システム、感覚システムともに良好。
No.4869、スキャンオールクリア。

「おはようございます、マスター」

銀色の髪の目つきの悪い男。彼は、私のご主人様である。

アンドロイドちゃんとジンさん。「ただの玩具、人形」と言うくせに大切にしそう。
組織壊滅するときに壊れる。そのときに幸せそうに、「マスター、私のたった1人のマスター。ありがとうございました」って微笑んで壊れる。

でも、記録している彼女の脳ともいえるディスクが見つかってそれを元に彼女を作り直すんだろうなあ。
「仕事だ」
で、目が覚めるの。
「おはようございます、マスター」
って、あの時はニコリもしなかったのに笑うんだろうなあ。
2017/08/12 - 15:15





恋のせい[黒羽快斗]



私のこの心臓は、死ぬまでにだいたい20億回ぐらいとくんとくんと音を鳴らし収縮を繰り返すのだ。
「余命3ヶ月ほどでしょうか」
無機質な声が全ての音をかき消す。隣に立っていた彼を横目で見ると、珍しく慌てふためいていた。いつもと打って変わって自分のことなのに不思議なぐらい冷静な私と、叩きつけられた現実に真ん丸くした目と口を半開きにした彼。
「嘘ですよね」
声は、とても震えていた。
「残念ですが……」
下唇を噛んだ悔しそうな顔が私に向く。私は下手くそな笑顔を浮かべるしか出来なかった。
「3ヶ月か」
ふいに零れた言葉と同時に、彼の海のように青い瞳が溢れだす。
「泣かないでよ。私はまだ生きてる」
いつか消えてしまうけれど。
「快斗に恋をしたせいね」
快斗の笑顔が、声が、触れた体温が私の鼓動を加速させたの。おかげさまで、心臓の稼働制限が切れてしまったんだわ。


2017/08/12 - 15:09





降谷さんとたまごっち[降谷零]



「ねえ、パパ」
「ん、どうした?」
黄色い帽子を被り、真っ赤なランドセルを背負って準備万端に出発したはずの娘が戻ってくる。
「今日って、お仕事お休み?」
「え?ああ、休みだよ?」
「あのね、お願いがあるの」
神妙な面持ちの娘が手渡したのは、プレゼントに買ってあげたたまごっちというタマゴ型のゲーム機。
「ほっておくと死んじゃうから、まめっちのお世話してて欲しいの」
なるほど、そういうこと。
世話をしないと死ぬだなんて、この小さなゲーム機は情操教育にも役立っているのか。
「ああ、分かったよ。ほら、遅刻するから早く行きなさい」
「うん、ありがとうパパ!じゃあね、まめっち。すぐ帰ってくるから」
と、家を飛び出た娘。
「……久しぶりにお休みの俺を差し置いて、まめっちか」
なんて、たまごっちにヤキモチ妬くパパ谷零さんください。
2017/08/12 - 15:06





あのね、[工藤新一]



「あのね、工藤くん」

振り向いた工藤くんに小さなメモ帳を、さらに折りたたんだ手紙を手渡す。

『今日、一緒に帰りませんか?』

「ん」

急に振り返るから、心臓が止まるかと思った。戻ってきた小さな手紙に、文章が加わっている。

『裏門で待ってる』

俯いて顔にカーテンのようにかかる髪の毛の中で、誰にもバレないように笑う。
早く授業終わらないかなって、時計に目を向けた授業終了20分前。

2017/08/12 - 15:06





あのね、[黒羽快斗]



「あのね、快斗くん」
「ん?」

いじわるを思いついたの。にやけちゃいそうになる口元を抑えて、うつらうつらする彼の肩を叩いた。振り向く、眠そうな青い瞳。

「好き」

いつも1枚も2枚も上手な君に仕返し……のつもりだったのに。

「オレも」

なんて、ふにゃりと笑う君。
勝率0パーセント。
とりあえず、真っ赤な顔を教科書で隠した。
2017/08/12 - 15:05