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そして持ち物がもうひとつ。

個人的に拵えた、ダミーのブレスレットを左手首につけている。
サリバン先生は説明の時『鬼は参加資格であるブレスレットを奪うべく動く』と言っていた。
ならば、もし万が一捕まっても奪われたのがダミーの方なら1度逃れられるのではないか?

俺はそんなふうに考えた。
準備期間の間に図書館に通い、ビブロさんにも手伝ってもらいながら最適な魔法を探し出した。
最初は幻術でブレスレットに見せるという方法も考えたのだが、幻術というのは「見える」だけなので触られると気付かれる可能性が高い。よって幻術は没。

採用したのは形状をコピーする魔法(機能はコピーできない)。適当にヘアゴムを用意しておき、先ほど完成したところ。

このダミーブレスレットを着けた左手首に、あからさまに防護呪文を張っておけば隠蔽工作は完了だ。
少々わざとらしい気がしないでもないが、それくらいで丁度いいだろう、うん。
遠目からは完璧にこれがターゲットに見えるだろうし、実際に取られても8割方気付かれない、はず。

で、本物をどこにつけているかというと……迷いに迷って、ズボンの下、右太ももに着けることに決めた。

銃やナイフのホルスターをつける場所といえば分かりやすいだろうか。
ズボンの下なので外からは見えない場所だが……それは同時に、『鬼の接近を感知する機能』を捨てることを意味していた。

この点に関しては随分と迷った。が、こう考えて割り切ることにした。

鬼は皆物凄く優秀だ。
多少の距離なら一瞬で詰めることができるに違いない。ブレスレットの機能にだけ頼っていると逆に足を掬われるかもしれない。その程度の機能なら捨てちゃっていいさ、と。

自分の勘と探知魔法だけが頼り、というのもなかなか心細くはあるが……仕方がない。やりきってみせようじゃないか。

まだ見ぬ俺の『相方』もうまく逃げ延びてくれるといいのだが。はやいとこ合流できると心強い。



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