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場所は変わってスケット団の部室にやってきた。
ベンチと目の前の畳には鬼塚さんと藤崎くん。後ろのパソコンデスクには笛吹くんがいる。

紙を見られたのだ。私は。恥ずかしすぎてもう顔が上げられない。何も言えない。


「なぁ、ほんまにおったで完全にさっきの会話フラグやったやないか」
「い、いや…あれがこの子のだと確信はまだねぇだろ…」
「いやでもこの感じ完全恋すること乙女やんか」
「ありえねーだろ!あいつ好きになる子なんかこの先堅物石頭野郎だけだって!こんな可愛い女の子なわけねーだろ!」



何故だか2人で話しているけれど、しばらくしてそんな私に気を使って鬼塚さんが声をかけてくれた。


「な、なぁ…確認なんやけど…その、」
「先程の紙は君のであっているか?」

言いにくそうな鬼塚さんに変わって笛吹くんが問いかける。

「…は、はい」
「ふむ。ならば確定だろう。君は椿佐助の事が好きなんだな」
「…う、…」
「そんなストレートに聞くなや」


顔が赤くなる。だけど事実だから仕方ない。
小さく頷く。


「え、ほんまに?!うわ、もう想像の遥か斜め上いったわ。椿のこと好きになる子おんねんな。おってもごっつ真面目でごっつ面倒臭い系女子や思うてたけど」
「そ、そうなの…?」
「なんやめちゃくちゃ可愛ええやん!ごっつ良い子そうやし、The、清楚!っちゅー感じの女の子やん!あたしビックリやで」
「あ、ありえねー…」
「ちなみにF組の名字名前さんだ。出席番号14番。あまり目立ったりすることは無いが、人当たりもよく、雑用も進んでやることからとても良い子で先生からの信頼も高い」
「ど、どこ情報なんですか!?」
「スイッチはな、なんでも知ってんねん」
「笛吹くん…すごい…」
「スイッチでええで。あたしもヒメコって呼んでや。こいつはボッスン。名前ちゃんでええか?」
「は、はい…ありがとう…」
「その紙、昔流行ったおまじないだろう」
「!…そ、そうです」
「おまじない?あー、そういやダンデとかもなんかやってたな」
「でもそれとはちょっとちゃうねんな」
「ダンデはシャーペンに好きな女の子の名前を書いた紙を入れるおまじないだ」
「私は…両思いっていうか…好きな人に会える…だけ…の、おまじないで」
「あ、会うだけ?!両思いとかやなくて?!そんなん同じ学校なんやから嫌でも会えるやん!」
「わ、私…平々凡々なただの女の子だし、椿くんが私の事なんか認知してるわけもないし…りょ、両思いなんておこがましいです!」
「可愛い!!なんやこの健気な子!」
「なんでこんな子が椿を好きになるんだよ!」
「では何故椿のことを好きになったんだ?一目惚れか?」
「いえ…変な男の人に絡まれた時に…」
「うわー、そりゃ惚れるわな」
「でも、きっと椿くんからしたらもう記憶になんかも残ってないだろうし…」
「なんでそない消極的なん。名前ちゃんなら絶対大丈夫やて!自信持ちや!」
「…でも」
「こりゃ本人目の前にしたらどうなんだ」
「会話どころじゃ無くなるな」

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