今日って決めてた。キミにさよならする日。
魔神オズは混沌の世界を好む。
それと表裏一体、愛のエナジーを秘めた僕はオズを排除し、冥界に封印する役目を持つ。それ以外望んじゃいけない運命。だけど、今年の2月のこの日は少し違った。
もうすぐ、消えてしまう僕という存在。なのに。
何故、どうして。そんなに僕を愛してくれるのか。
少し桃色に染まった頬が可愛い。ぱちくりと僕のためだけに向けられている瞳が愛おしい。
そして、最近までショートヘアだと思われていた長髪が、彼女だと言うことを僕に知らしめる。
「私、涼太のために中島からお料理を教わったんだ。初めて作った…お願い!受け取ってください!」
「…嬉しい。ありがとう零羅」
僕は彼女の思いに応えた。これが最後になるだろう。彼女の前で開けたプレゼントの中には、ハート型のチョコレートが入っていた。
「は、…はーと…!?」
「だって、これしか涼太に思い、伝えるチャンスないと思ったから…!」
「ど、どっから食べれば…」
「がぶっといってはどうでござるか?ここは男として」
「日影!?」
「月影も!!!」
もぐ。丸い角から食べてみた。
「うん。美味しい」
「ほんとう!?」
「ねえ、零羅」
「なあに?」
「僕の事、忘れないで」
そう言って僕は、零羅をぎゅっと抱きしめた。
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