ベビーピンクの狂気に囚われて


 

私は果てしない廊下を走っていた。
左右には美しい彫刻のランプ。
天井にはシャンデリアという洋館に捕らわれていたのだ。
美しくも狂気に彩られた少女に。
重厚な扉が見えて、私は歓喜のあまり気を抜いていた。


「どこへ行くのです?瑠歌」

「……あいほ、う…」


心臓が凍り付いたかのように感じた。
漆黒のゴスロリにベビーピンクの髪と瞳。
この場に一番似合う笑みを浮かべて、人々がレンと呼ぶ愛鳳が立っていた。
彼女に囚われてから、私は快楽を叩き込まれて動けない状態にあったのだ。
それから抜けられて、ようやく解放されると思っていたのに。
神様はなんて残酷なんだろう。


「わたしから逃げられるとでも思っていたのです?」

「思って、いたわ」

「なんて浅はかな」


くっと、唇の端を持ち上げて笑う愛鳳。
かつん、かつんと靴音を響かせて私に近づいてくる。
純白の色を持つ細く長い指が私の顎をすくう。


「わたしからは、逃げられませんよ。瑠歌」


薔薇色の唇が私のそれと重なる。
舌を絡ませ、音を立てて、離れる。
名残惜しい、と思ってしまう。
この快楽をほしいと思ってしまう。
愛鳳の優しい愛撫からは逃げられない。
私の身体は知っていた。
姫抱きにして、私を閉じこめていた美しい牢獄へ愛鳳は向かう。


「あっ…」


優しく天蓋付きのベッドに横たえられて、頬をなぞられる。
背筋が粟立つ感覚が、快感に変換される。
指が徐々に下へ行き私の中心に触れる。
秘豆に触れて、つねられる。


「あぁん…!」


自分でも驚くような甘い声が出る。
中心に突き立てられた指がバラバラに動かされる。
ある位置を擦られた途端に、身体がびくん、と跳ねた。


「あっ、ぃゃ…あい……あい、ほう…」

「ふふ、可愛いですよ。瑠歌。もっと乱れてくださいね…?」


そう言うと愛鳳は私の中心に口づける。
脳みそも溶けるような感覚が私を襲って翻弄する。
快楽の波に飲まれながら、私はひたすら喘ぐことしか出来なかった。
そして、私は悟る。
この美しい少女からは逃れることが出来ないのだと。
甘く、愛おしい快楽に飲まれて、私はベビーピンクの狂気に囚われた。

Fin...


- 1 -

*前次#


ページ:



ALICE+