その女の人はお使いに出た、コンビニにいた。本が陳列されてる棚の前に立ってファッション誌を興味があるのかないのかパラパラとめくってる。胸元のざっくり開いたニットから見える豊満そうな谷間。デニムのミニスカートから伸びた細くもなく太くもない太腿。顔は薄目のメイクで眼鏡をかけていて派手さはないが品のある顔つきをしている。一台の車がコンビニ駐車場に入ってきたの同時に顔をあげる。彼女は待ち合わせだったのかそれに気付き本棚に戻し、カツカツとヒールを鳴らして店を出ていく。すれ違う時にフワッと香る匂いはとっても甘い匂いで似合ってると思った。車の方をみれば思わずぎょっとしてしまう。ライノーローンの村井ではないだろうか。村井はだらしなくなった目元と口元をおさえるこのように手を当てている。後ろには犀原が乗っていて座席でも蹴飛ばしたのだろう。何度か頭を下げていた。さっきの彼女がその車に乗り込んだ。人は分からないものだと思う。あんな人があんな女と知り合いだなんて。いや、もしかしてそっちの人なのかも知れない。あー、こんなことしてる暇はない。早く帰らないととお使いの品を次々と籠に入れて急いで戻ろうと思う。事務所へ戻れば遅かったなーと言われたものの怒られることはなくて一安心する。それから時間まで仕事をする。そろそろ終わりにすっかと社長がそういうとみんながバタバタと片付けを始める。柄崎さんは社長飯いきませんか?と誘うが行かねぇよと断らガクリと肩を落としていた。本当に社長が好きだなと思いながらふと聞こえてきた足音に耳を澄ませる。多分うちの前で止まった足音。ノックもせずにガチャリと扉が開いて一斉にそこに視線が注がれる。扉から遠慮気味に顔を出したのはさっきコンビニで見かけた彼女だった。柄崎さんが花子久しぶりだなーと声をかける。すると彼女はそうだねーと笑い中へ入ってきた。社長の様子を伺えば眉間に深い皺を寄せている。みんなの顔みたくて来ちゃったと笑い、柄崎さんがほら高田、さゆり行くぞと事務所を出るように促す。促されるようにお疲れ様です。と挨拶をして事務所をでる。ふと、疑問に思った。彼女は何者だと。あの人誰ですか?と柄崎さんに問えば少し悩んで彼女じゃね?と疑問系で返された。なんで疑問系なんだろ。と思ったが見上げれば事務所の電気は消えていた。


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