「名前〜!!」
昼食を済ました昼休み、同じラグビー部で隣のクラスの小野がやってきた。
今の座席だと廊下から接触しやすい為に、よく他所のクラスの友人やラグビー部員に絡まれる。
「お、松川寝てんのか。」
「ん〜、そうみたいだね。」
学食から戻ってきた松川くんは、自分の席に顔を突っ伏して仮眠を取り出した。
小野は松川くんとも仲が良いので、少し残念そうに見えた。
「それより名前見ろよコレ!この胸やばくね!?」
興奮気味に差し出したスマホの画面には、際どい水着を着た爆乳のグラビアアイドルが映っていた。
小野だけでなく部員はよくこうやって際どい話を降ってくる。
私も私で嫌がらずに淡々と受け答えするので、今でも餌食になっているのだ。
「‥‥あんたほんと巨乳好きだよね。」
「お前巨乳じゃねーからって嫉妬すんなよな〜!」
蔑んだ目で見ながらスマホを返す私を、小野が笑い飛ばした。
「あほか。大事なのは『形の良さ』と『感度の良さ』だって絶対!」
ムキになって持論を展開する私に小野は笑い、自分のクラスへと戻っていった。
すると先ほどまで寝ていた松川くんが、むくっと顔を上げた。
「‥‥へぇ。名前さんの胸って形が良くて感度良好なんだ。」
気怠そうに笑いながら、松川くんが呟いた。
「な、なんでそうなるの?」
『よりによって松川くんに聞かれていたなんて』と青ざめながら彼に言い返す。
「だってあんなムキになって言うぐらいだし、感度はほら‥‥『ド敏感名前ちゃん』だし?」
意味深な様子で妖しげに笑う松川くん。
「それに名前さんのって、小さ過ぎず大き過ぎずの理想的な大きさだよね。」
「‥‥!じろじろ見るな!」
先ほどまで私の目を見ていたはずの松川くんが、今では視線を胸元に向けていることに気づき、バッと胸元を両手で隠した。
「ははっ、恥ずかしがっちゃって。さっき小野と凄い話していた人とは思えないね。」
「た、確かにそうだけど!でも自分が際どい話題にされたら動揺するに決まってるじゃん!」
「そっか。下ネタ話せる人ほど、実はウブらしいしね。」
狼狽える私の反応を見て松川くんが笑っている。
「ねぇ。名前さんの胸、いつ俺に揉ませてくれる?」
耳が弱いことを知っている上で、私の耳元で松川くんが囁いた。
セクハラ発言にも関わらず、囁かれた私は火がついたかのように熱を感じる。
「っ!‥‥ら、来世。」
「そ。じゃあちょっくら死んでくる。」
「ちょっ、ちょっと待って!!冗談だから死なないで!」
教室から出ようとする松川くんを慌てて阻止した。
冗談のつもりなのだろうが、松川くんの冗談は冗談に聞こえないのだ。
にしても松川くんはとんだ変態だと思う。
そんな松川くんに何故かドキドキしてしまう私もどうかと思うけど。
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