あと15分で授業終了の頃に、突然腹痛に襲われた。
授業を抜け出してトイレに行くのは恥ずかしく、それにこういうことは偶にあることなので、痛みを和らげるよう机に上体を預けてお腹を『の』の字にマッサージすることに専念した。
「‥‥んっ‥‥はぁ。」
あまりの痛さに涙が目に浮かび、呼吸が乱れる。
早く授業よ終われ。
*
「名前ちゃん大丈夫?」
授業が終わった瞬間トイレに向かう為に急いで教室から飛び出し、数分後教室へと戻った私に、天童くんが声をかけた。
「あ、うん。大丈夫。」
いつもは卑猥なことばかり言うが、こうやって気にかけてくれたりと優しいところもあるんだなあと、感嘆の眼差しを向ける。
「名前ちゃんたら、ローター仕込まれて感じてるのかと思っちゃった!だって授業中あんなに涙目になって、喘ぐの我慢して、そんで授業終わった途端に駆け出すんだもんネ〜!」
「はあ!?そんなわけないじゃん‥‥!」
優しいと思ったのも束の間で、いつものように変なことを言い出した天童くんに、ぎょっとしながら抗議する。
あんなに痛い思いをしたのに、そんな誤解をされたなんてたまったもんじゃない。
そもそもそんな奴、現実に存在するのか?!
「分かってるよ。お腹痛かったんでしょ?我慢しないで早く保健室行けばよかったのに。今からでも行く?俺がついていこっか?」
今度は心配そうに顔を覗きながら、声をかけてきた。
からかったり優しくしたり、調子が狂ってしまいそうだ。
「ん。でも大丈夫だから。ありがとね。」
「それならいいけど!ほんと名前ちゃんの所為で覚くんの覚くんが元気になっちゃって、抑えるの大変だったんだからネ!?場所によっちゃ襲ってるよ?!」
感謝の気持ちを述べた私に、天童くんはまたまた卑猥なことを言い出した。
「ほんっと最低!!」
『わざわざお礼を述べた私に謝れ!』と思いながらキッと睨み、自分の席へと戻った。
天童くんなんて最低ゲス野郎だ。
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