あと15分で授業終了の頃に、突然腹痛に襲われた。


授業を抜け出してトイレに行くのは恥ずかしく、それにこういうことは偶にあることなので、痛みを和らげるよう机に上体を預けてお腹を『の』の字にマッサージすることに専念した。




「‥‥んっ‥‥はぁ。」


あまりの痛さに涙が目に浮かび、呼吸が乱れる。


早く授業よ終われ。









「名前ちゃん大丈夫?」


授業が終わった瞬間トイレに向かう為に急いで教室から飛び出し、数分後教室へと戻った私に、天童くんが声をかけた。




「あ、うん。大丈夫。」


いつもは卑猥なことばかり言うが、こうやって気にかけてくれたりと優しいところもあるんだなあと、感嘆の眼差しを向ける。




「名前ちゃんたら、ローター仕込まれて感じてるのかと思っちゃった!だって授業中あんなに涙目になって、喘ぐの我慢して、そんで授業終わった途端に駆け出すんだもんネ〜!」


「はあ!?そんなわけないじゃん‥‥!」


優しいと思ったのも束の間で、いつものように変なことを言い出した天童くんに、ぎょっとしながら抗議する。




あんなに痛い思いをしたのに、そんな誤解をされたなんてたまったもんじゃない。


そもそもそんな奴、現実に存在するのか?!




「分かってるよ。お腹痛かったんでしょ?我慢しないで早く保健室行けばよかったのに。今からでも行く?俺がついていこっか?」


今度は心配そうに顔を覗きながら、声をかけてきた。


からかったり優しくしたり、調子が狂ってしまいそうだ。




「ん。でも大丈夫だから。ありがとね。」


「それならいいけど!ほんと名前ちゃんの所為で覚くんの覚くんが元気になっちゃって、抑えるの大変だったんだからネ!?場所によっちゃ襲ってるよ?!」


感謝の気持ちを述べた私に、天童くんはまたまた卑猥なことを言い出した。




「ほんっと最低!!」


『わざわざお礼を述べた私に謝れ!』と思いながらキッと睨み、自分の席へと戻った。




天童くんなんて最低ゲス野郎だ。