重なる影
「……けど、団長が…私を好きなのは…私の太陽に強いところだけで…っ」
「誰がそんなこと言ったわけ?」
「え…っ」
「俺、一言もそんなの言ってないんだけど」
「……だって、そんなこと…あるはずがないじゃないですかっ…」
私みたいな取り柄一つもない、平凡な女の子を団長が好きになるはずがない。それこそ吉原とかにいるような美人で魅惑的な女性の方が気に入りそうじゃないか…そう、まるで自分とは正反対のタイプの女性を。それなのに、私のような子供っぽいだけの女を好きだなんて……そう思わずにはいられなかった。
「そりゃ月白は子供っぽいし、初心だし、処女だし」
「っ!ちょっと、しょっ処女は関係ないんじゃ…!」
「だけど、そんな月白を俺は何故か気に入っちゃったわけだ」
月白の頭を撫でながらケラケラと軽く笑う。本人もよくわかっていないようだ。
「好きになるのに、理由なんていらないんじゃない」
「…で、でも…っ」
「それに、月白だって同じだろ」
「な、何が…ですか…っ」
「月白も俺のこと好きでしょ?」
「…なっ!?…そんなわけっ…」
「じゃあなんでそんなちっぽけなこと気にしてんの?」
「ちっぽけなって……」
「自分の特異体質が〜…なんて、言い訳づけちゃってさ」
「…っ!だ、団長…」
「素直になったら、どう?」
そしてまた、触れるだけの口づけ。ちゅっと可愛らしい音が鳴る。それに月白の頬が赤く染まった。
「そんなくだらないこと考えも出来なくなるくらい、俺に夢中になってヨ」
「…やっ…やめ…」
「俺は、もう」
「だ、んちょっ…」
「月白以外がどうでもよくなるくらい、好きになっちゃったのに」
「あっ…」
頬、額、瞼…月白のあちこちに口づけを落とす神威。それを恥ずかしげに抵抗しようと神威から離れようとするも神威はそれを許そうとはしない。先程よりも更に月白を自分から離れないように引き寄せる。
「もう、何も考えらんないくらい俺に夢中になってヨ…月白」
「…だ、だんちょ…」
「俺は、別に月白と一緒なら子供とかどうでもいいネ。今は二人きりの方が色々とヤれるし」
「や、っやれるって…!」
「…ね、月白」
神威の言葉に、月白は小さく頷いて見せたのだった。
「…銀チャーン、お腹減ったアル…」
「…ったく、人様の家でイチャつくんじゃねぇっつの」
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