少年Aと少女B

「ったく、あいつら本当面倒な奴等だな…」
「副長、あいつらって誰のことですか?」
「わかんねぇのか、総悟と佐菜のことだよ」
「…あぁ、あの二人…」






極秘任務から戻った山崎から報告を受けた後、土方は二人に対する愚痴をついつい零していた。





「何ていうか…じれったいですよね。もう傍から見て両想いなのは一目瞭然なのに」
「中途半端な関係だからギャーギャー騒ぐ羽目になるんだろうよ…テメー等の問題くらいテメー等で片づけろってんだ」
「あ、副長。また請求書が届いてますよ」
「…総悟の野郎、また俺の名前で勝手に…!しかもこの金額だと佐菜の馬鹿が食い漁ったのか!?」
「ちょおおっ副長!!俺無関係ですってばああ!!」
「うるせぇ!むしゃくしゃするんだよ、気が済むまで殴らせろ!!」
「そんな横暴な!!」
「恨むんなら、総悟と佐菜を恨むんだな、山崎」
「え、や、ちょっ…副長目が本気…ぎゃーー!!」







山崎の悲鳴が屯所内に響き渡ったのだった。









「…ん?なんか聞こえなかった?総悟」
「なんかって何ですかィ」
「んー…悲鳴、みたいな?」
「どうせ山崎あたりのもんでさァ、気にすることはありやせんぜ」
「…んーそっか」






パフェを食べ終わり、屯所へ帰宅してきた総悟と佐菜。聞こえてきた悲鳴が気になったものの、総悟にそう言われたので聞かなかったことにした。…まぁザキならいつものことだし大丈夫でしょ、うん。







「あー、総悟がちゃんとお金払わないでトシさんに請求書送りつけるからまた叱られるじゃんかー」
「別にそんなもん痛くもかゆくもないでさァ」
「総悟は適当にあしらえるけど、私はそういうわけにはいかないの!もー、トシさんなんか私に対して長々と説教するの好きだし」
「何言ってるんでさァ。説教中に菓子パンかじれる佐菜の神経も疑いやすぜ」
「だってお腹減るんだもん。言うでしょー?腹が減っては説教も聞けず、てね」
「言いやせん、ほんと佐菜は馬鹿ですねィ。こんな馬鹿で大食いで色気無しを幼馴染に持つ俺はほんと可哀想なこって」
「何それ!?自分で言う!?そういう総悟だって、可愛い顔してドSだし、容赦ないじゃない!!」
「俺はいいんでさァ、それが売りなんで。そのおかげでいつも公式人気キャラランキングでは上位組でさァ」
「売りって何さ、売りって!!大体ずるいよね!?公式キャラってだけで皆から人気なんだから!!私なんて……!!」






ギャーギャー騒ぐ二人の姿は、最早日常茶飯事。隊士たちも苦笑しながら二人のやり取りを見るのが日課となってきた。…それぞれが互いの想いを伝える日が、そう遠くない…はず。

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