《聖戦の系譜》ユグドラル大陸での初セックスは可愛い未亡人と


.
 グラン暦七六〇年。

 それはユグドラル大陸である意味の節目、転換期とも呼べる年となった。

 シアルフィ公子シグルドの三年間にも亘る戦いが、ヴェルトマー公爵アルヴィスの騙し討ちで終わりを迎えてしまったのである。

 その余波はイード砂漠にまで波及、シグルドの為に動いたレンスター王国の王キュアンと王妃エスリン、二人が軍を率いてグランベル王国にまで向かった際、トラキア王国の王トラバントが率いるドラゴンナイトの軍勢が現れ、キュアン達を急襲してきのだ。

 まともに戦えば互角。

 互いに聖戦士の血筋で、【槍騎士ノヴァ】の血脈と地槍ゲイボルグを受け継ぐキュアンと、【竜騎士ダイン】の血脈と天槍グングニルを受け継ぐトラバント。

 然しながら娘アルテナを人質にされ、ゲイボルグを手放したキュアンは良い様に殺害されて、率いてきた騎士達もトラキア軍により一掃されてしまう。

 キュアンの妻エスリンも傷付き倒れ、砂漠の砂に埋もれ朽ち果てる筈だった。

「あれから何百、下手すりゃ千年単位で眠っていた訳だけど、ユグドラル大陸に着いた早々でこれか」

 血塗れの騎士達が倒れ、一際に派手な服装をした男も心の臓が停止、生き残りは砂漠に居ないと判断出来るくらい死に満ちていた。

「戦争の常とはいっても哀れな事だ。せめて墓標くらいは作ってやるかな?」

 黒髪黒瞳の青年ユート、嘗て【透魔王国】のミコトと透魔竜ハイドラの欠片、この二人の間に疑似転生をして誕生した青年である。

 取り敢えず遺体を集めようとしたら……

「ん? 僅かながら生きた人間の気配が在るな……」

 微弱だから気付き難い、然れど間違いなく人間が発する気配を見付けた。

「この辺りか?」

 気配を探って漸く見付けた場所には誰も居ないが、砂の盛り上がりを見るに埋まったのだろうと理解し、ユートは砂を巻き上げる。

 砂の下から赤に近いが、ピンクブロンドの髪の毛の女性が現れた。

 服も槍で裂けた部分もあったが、高級そうな防具と兼任する装束だと判る。

「エスリン……か」

 すぐに正体に気付いた。

 山吹色に白で裏打ちされたマント、緋色の戦装束、薄めな紫色のミニスカを穿いた白いブーツの女性だ。

 特徴的過ぎて間違え様も無いであろう。

「血塗れで殆んど息も無いけど、まだ確かに生きてはいるみたいだね」

 本当に僅かな吐息が可愛らしくも乾いた唇を通し、小さく本当に小さくではあるが漏れ出ている。

「とはいえ残り数分だな。彼女の命の灯火は……」

 救う術はあるか?

 先ずはお手軽な魔法。

 ファイアーエムブレム系の魔法で回復系と云えば、ライブとリライブとリブローとリカバーとリザーブであろう。

 リブローとリザーブは、遠距離回復と全体回復な訳だから、個人に掛けるならライブとリライブとリカバーという三種。

 そして一番強い回復魔法がリカバーである。

「最早、回復魔法に反応をするだけの生命力が無い」

 エスリンのダメージは余りに深く、既に死に体となっていてリカバーでさえも効かない状態。

 ならばエリクサー?

 死んでさえいなけれは、『死者すら甦る』くらいの謂われがあり、エスリンも快復するであろう。

 だが残念ながらエリクサーは在庫切れであった。

 エリクサーやエリキシルやエリクシール、呼ばれ方は様々なれど確かにユートは持っていた筈。

 然しながら【透魔戦争】とでも呼ぶべき戦争にて、ユートは自分の持っていたエリキシル剤を大放出。

 それで在庫切れとなる。

 戦争終結後は爛れた性活を続けており、錬金術なども簡単なアイテムは造っていたけど、エリキシル剤みたいなアイテムは滅多に造っていない。

 造っても渡すべき相手から依頼されたからであり、在庫を増やす様な事は特にしてなかったのである。

 素材が戦争の影響からか少なかったのも原因。

 仮に造るだけならば可能な程度に素材は有っても、エリキシル剤を一つ製作するのに【リリーのアトリエ】準拠で一二日、素材へと変えるアイテムの製作日数も数えれば更に数日以上。

 エスリンは数分で死亡をするのだから、そんな日数が掛かっては間に合わないであろうし、何より果たしてエスリンにエリキシル剤の対価が払えるか?

 ユートは決してタダでは動かない、対価を支払う事で対価に応じて動くのだ。

 勿論、杓子定規にはいかないのだろうが基本は対価を以て動く。

 誰かをタダにしたなら、他の誰かもタダにしないとクレームが付くし、ユートは決して【便利まっすぃーん】になる気は無い。

「エスリンに問う。君に願い事が有るならば聞こう。対価は願い事次第だけど、願いを叶えるには望みし者が生きている必要がある。願うならナニかを喪う覚悟もする事だ」

 ニヤリと口角を吊り上げたユートの言葉に……

「……アン……を、……す……けて……」

 小さく囁き声程度に願いを紡ぐのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ユートはマントを翻し、それを砂漠の上に置いてからエスリンを乗せる。

 封時結界を展開する事により、外界からのありとあらゆる干渉を阻害。

 また、時間の加速も行って外界の二四分を内部時間で二四時間に調整した。

 これで“儀式”に要する時間を鑑みれば、外界では大した時間が掛からない事になるのだ。

 エスリンの紡いだ願い、『キュアンを助けて』を叶えるに辺り、死亡しているキュアンが腐らない様に冷やしてはいるが、どうしても腐敗は肉体的なダメージを残してしまう。

 出来る限り時間を掛けないのが無理なら、時間自体を弄ってしまうまでだ。

「儀式を始めよう」

 流血は止まっているが、槍により刺し傷が心臓近くの胸元に有る。

 心臓を逸れたのが未だに生きていた理由だろう。

「【陰陽補完術】」

 ユートが男で相手が女性でないと成立しない儀式、何処ぞの錬金術師は女性を『完全な人間』と定義し、ある二人の男を女性に転化――TSさせているけど、事実上で生命体は不完全な存在でしかない。

 それは無性でも同じ事。

 故に【完全な存在】へと限り無く近付く行為という意味で、男……陽と女……陰の結合が挙げられる。

 尚、あしゅら男爵は少し意味が違った結合だ。

 男の凸型を女の凹型へと一つにし、□を成す事によって完全な存在とする。

 飽く迄も理想論であり、アプローチの一つでしかないし、ユートは別に【完全な存在】を創りたいと思ってもいない。

 儀式として概念構築をしたに過ぎないのだから。

 それが【陰陽補完術】。

 簡単な話がユートの凸型である肉棒……ペニスを、女性の凹型となるオマンコへと貫き、□という完全体を成して一つの生命体という仮想再現を行う儀式だ。

 これによりユートと女性の氣を混ぜ合い、循環させる事で命を共有化する。

 生命力が限り無く〇だと云うなら、他所から補給をするしかないのだから。

 例えば人体に塩分は必須なれど、人体に塩分は作る機能が無いから経口摂取で取り込む感じに。

 普通に渡せば良い?

 不可能とは云わないが、【ディバイド・エナジー】みたく分けてしまったら、そもそもユートの氣が減ってしまうから後が続かないだろうし、何よりそれだとロスがどうしても出る。

 一〇〇の氣を流しても、ロス分が減って六〇くらいしか回復しない為、とてもではないが効率的とは云えなかったし、某狩人×狩人みたく注入したら壊れましたではシャレにならない。 況してやエスリンは数分で生命活動を停止する危機的状況な為、救助活動として氣の注入をしたら残りの生命力が吹っ飛び、落命の可能性が濃厚な訳である。

 ユートは仰向けにして横たえてたエスリンの脚を、M字に開脚をさせて下衣をスルリと降ろす。

 パンティではなく正しく下の衣的なソレだったが、様式美だと云わんばかりに全部を脱がさず片足に絡めた侭だ。

 時間はもう無いとはいえ多少の潤滑油は必要。

 早目に濡らす意味も込めてか、クンニリングスによる前戯を行った。

「んっ……」

 クリトリスへ舌を這わせた刺激から、エスリンが小さな呻き声を上げる。

 クンニリングスは指による愛撫より刺激を受け易い行為で、クリトリスへ行われる圧迫などが女性に快感を強く与えていた。

 しっとりと潤う秘所。

「さて、時間も無いから……ヤろうか」

 敵対者でなく本人の同意も無いからには、この行為は単なるレイプと変わらないのだが、辛うじて願いを叶える対価というかその為に必要なエスリンの生命の保護という理由、それによりレイプではないと言い聞かせていた。

 エスリンのオマンコとかクリトリスを舐める事で、ユートの性的な欲求も可成り強くなり、天を突く勢いでチンポが勃起している。

 我慢汁が鈴口から溢れ出ていたのを、膣口の愛液と混ぜてヌルヌルとなっていたオマンコへと、ユートは一気呵成に突き挿入れる。

「んんっ!?」

 ズブリ……と巨根を呑み込んだエスリンのオマンコ内部の膣壁、そこにビッシリ生えた襞がチンポを優しく包み込んだ。

「温かい。生きている証拠ってやつだね」

 ユートは氣を発して相手の氣と混合、それを自分からエスリンへ送り込んで、更にユート本人へと還ってくるウロボロスの循環を、カドケウスの螺旋によって増幅しながら行う。

 動きは無い。

 今はエスリンの生命保護が最優先だからだ。

 尚、この状態でどちらかが死んだら相方も死ぬ為、エスリンの死はユートの死に他ならないのである。

 とはいえ、人間は全く動かずには居られないから、僅かながらの動きでチンポが襞に刺激を受け、ユートの方に快感が少し走った。

 ヤバイくらいに気持ちが良くなっており、ちょっとくらいなら動いても良いかなとか思ってしまう。

 まだ完全同期が済んではいないから、下手に動いては死なせてしまいかねないので我慢の子。

 ユートは各ファイアーエムブレム……とはいっても【暗黒竜と光の剣】と【紋章の謎】と【聖戦の系譜】くらいしかプレイとクリアはしてないけど、お気に入りのキャラくらい居た。

 【聖戦の系譜】で云えばエスリンがそれである。

 お気に入りとはいってもみても、直に手を出せたりしない相手だった。

 それが今こうしてチンポを挿入までしている現実、沸き立つナニかに突き動かされない訳もない。

「若いよな」

 若作りではなくマジな話で若いエスリン、実年齢は二十代前半であろう。

 大沢版の漫画でエスリンは一六歳とかあったけど、流石にそれは有り得ないと当時は笑ってしまった。

 少なくとも、アルテナが二歳だから最低限で三年前に仕込んだ計算となる筈なのに、一三歳で結婚し初夜を迎えて即妊娠な流れとなってしまう。

 貴族……それも公国での公女様と王族だから無いとは云わない。

 そう、シアルフィ公爵と称されるが実質的に公国の公王であり、その公女こそがエスリンという訳だ。

 前ロプトウスたるガレとの戦いから僅かに百年後、血の交わりも無かったらしくゲームでも係累を示す証は表れてない。

 グランベル王国と七公国が始まりに在った。

 シアルフィにせよヴェルトマーにせよ、その他にしてもグランベル王家の血を引くという意味で公爵となった訳でもなかった。

 グランベル王家を主家、公国を衛星公家とする体制でグランベル王国が興き、今現在に至っている。

 聖者ヘイムをリーダーとしていたが故に。

 ユートの場合は各貴族家から娘や孫娘や妹などと、若い者を側室として送り込んで来たが、何を思ったのか八歳くらいの幼女まで送る莫迦も居た。

 だけどそれは側室に過ぎない上に、手を出されない可能性もあるから取り敢えず縁を結ぶ意味合いも強かったからだ。

 何より魔法至上主義たるハルケギニア、ユートとの子供は母親の資質をベースにして、魔法が強く発現をすると聞かされたからこそ送り込んだ為、正室となるカトレアとは役割そのものが違った。

 フォンティーヌ大公との縁結び、そして強い魔法を持った血縁作りである。

 ユートは邪神に犯されて以来、性欲は本来の数百倍に高まったのに反比例して子を成し難い体質になってしまったが、数を熟したらデキない訳ではないというのを、イザベラ・マルテス・ド・ガリアが妊娠をして証となっている。

 まあ、それ以前に平民とはいえジェシカを妊娠させてたりするが……

 初潮さえ迎えれば子作りの基礎は整う為、八歳にて輿入れをし一二歳の誕生日に初夜を迎える。

 順当にいけば数年後には妊娠をしていた。

 ある程度の相性が良ければ一年くらいで妊娠をし、少し辛いながらも医療技術も上がった為か、割と無事に一四歳くらいで出産もしている。

 ならばエスリンは?

 二児の母親とは思えない顔立ちであり、幼くも見える容姿ではあるのだけど、明らかに二十代には到達をしているだろう。

 アルテナが二歳であり、三年前に仕込んだと仮説を立てた場合、一八歳くらいに輿入れしたと推測されるのだけど、戦争の始まりが三年前のグラン暦七五七年でアルテナが産まれて間も無くとするから、もう少し前に輿入れかも知れない。

 アルテナは満二歳の数えで三歳になるのだろうし。

 つらつらと、エスリンの可愛らしい顔を視ながらも考え事をしているユート、余所事を考えていないと腰を動かしたくなるからだ。

 挿入しているだけでも、『お気に入りな女性キャラ』だった……という事実、その女性のオマンコに挿入している現実、精神的な盛り上がりと蠢く襞に僅かながら擦られる状態などが相俟って、今にも射精をしてしまいそうな程にチンポを介して快感を感じていた。

 とはいえ射精をする分には問題も無い。

 腰を動かしてエスリンに負担を掛けなければ良く、寧ろ射精してしまえばそれを媒介に傷を修復可能。

 というより、エスリンの体調が戻ればセックスへと移行して、射精をしなければならないのである。

 挿入してから一時間程が経過しており、エスリンの青褪めた顔に赤みが差しているから、順調に生命力も回復しているのが判る。

「うっ、ん?」

 回復しているからこそ、エスリンの意識も戻ってしまった訳で……

「――え?」

 今の状況を起き抜けな頭で考え始めた。

 見知らぬ男の顔が目の前に在るのを確認、明らかに押し倒されている状態で、下半身にキュアンから抱かれている際と同じ違和感、つまりは現在の自分は見知らぬ男に犯されている。

 そう察した。

「い、いやぁぁぁっ!?」

 キュアンとは恋愛結婚、決して政略的な婚姻などではなく、二人が出逢い恋をして想いをお互いに育み、愛に変わって結婚をした。

 愛する旦那様と子供達、なのに見知らぬ男に犯されては叫びたくもなるけど、今はちょっとヤバイのだ。

 暴れるエスリン。

 元々、エスリンは木登りをするくらいのお転婆で、野を駆ける程度に行動的で足腰も鍛えていた。

 何よりトルバドールではあるが普通に剣を扱えて、クラスチェンジでパラディンに成れる資質持ち。 エクササイズのレベルでなく、お転婆が転じて剣を振っていただろう。

 足腰が強いから暴れればぎゅうぎゅうと、ユートのチンポが圧迫されて擦られてしまった。

「ちょ、今暴れたら拙い……って……あ、射精る」

「へ? で、る?」

 その意味に気付いて青褪めてしまうエスリンだが、察するのが遅くて抜こうとする前にビュルルッ! と熱い塊が子宮を襲った。

「ヒッ!」

 ビュルルッ! ビュルルルルルッ! ドビュッ!

 目を固く閉じたユートが確りとエスリンを掴んで、チンポが抜けなかったというのもあるが、キュアンとは比べ物にならない大量の精液が子宮内を満たす。

 軽くぽっこりとお腹が膨らんでしまう量が、デカイ肉の棒で遮られて行き場を無くし、逆流して外に出られないから子宮を脹らませてしまったのだ。

「あ、嗚呼……熱いのが、キュアンじゃない熱いナニかが……私の胎内に満ちてくる?」

 エスリンは絶望しかない表情で呟くと、緋い目から一条の涙を頬へと零した。

 大分、昂っていたチンポが急激な刺激を受けた為、幾ら早漏ではないユートでも射精してしまう。

「この侭で済まないけど、抜こうとは思わないでくれないか?」

「きっ!」

 声を掛けたら睨まれた。

 当たり前だから敢えて受け止めるユート。

「覚えているか? 君は、トラキアの竜騎士団に襲われて死に掛けていた」

「っ! あ……」

 今の現状の所為で忘れていたらしく、エスリンは驚きの表情となっていた。

「死んでいなかったのは、偶然だが槍が心臓を掠めただけで、串刺しにされていた訳じゃなかったからだ。それでも心臓を掠めたからには大ダメージ、ショック症状で意識を失ったからか死んだと見做されたんだろうね。僕が見付けた時には瀕死だったし、数分もすれば死んでいただろう状態、助けようにも助けられる様な魔法やアイテムは無し、数分では町にも連れて行く時間が無い」

「ぜ、絶望的だわ……それでも私が生きてるのは?」

「こうして君と性器同士で繋がり、仮初めだが一つの生命体と成す事によって、生命エネルギーを混ぜ合わせて循環させているから」

「つ、つまり……貴方は、救命の為にこ、こんな……子作りの行為を?」

「子作りの行為って……」

 専用の言葉が無いのか、翻訳が出来なかったのかは定かではないが、セックスという言葉は少なくとも無いらしい。

「言い訳はしない。ヤった事自体は救命だったけど、それでも女性とこの行為に耽った事に違いないから。実際、気持ち良かったよ」

 カァァッ! と、真っ赤になってしまうエスリン、怒りか羞恥か両方か?

 照れた訳ではあるまい。

「さて、生命力は満ちた。だけど傷は致命傷な上に、血を流し過ぎているんだ。今から僕のモノを抜いたらすぐに生命力が枯渇して、結局は死んでしまう」

「そ、それは……」

「但しこの侭、僕と続けて何度かさっきみたいに受け容れたら、君の傷を修復して血を造血も可能だ」

「……え?」

「これはそういう儀式魔法なんだよ」

「……」

「もう一つ。取り敢えずは君の傷を修復するとかは、この行為をヤる事で対価はトントンで構わないけど、君を助けた理由となる願いを叶えるなら、別に対価を戴く事になるんだが?」

「願い……を?」

「訊いたら『キュアンを助けて』と言っただろうに」

「! 夢じゃなかった? そうだ、キュアンは!? アルテナは!? 夫と娘はどうなったの?」

「キュアン王はトラバント王に娘を人質にされて殺された。娘さんはトラバント王に連れ去られたよ」

「そんな……キュアンが、アルテナが……嗚呼!」

 今度はセックスによるのとは違う哀しみから、滂沱の如く涙を流してしまう。

「地槍ゲイボルグも持ち去られたからね、アルテナを育ててトラキア王国の為に使うんじゃないか?」

「トラバント王……」

 憎しみは無い。

 寧ろ憐れみか?

 エスリンの瞳には、悲哀と憐憫が浮かんでいた。

「で、どうする?」

「キュアンは助かるの?」

「対価を支払うならね」

「対価……お金?」

「命の対価は命。生命蘇生の対価には願いを掛けた者の人生を貰う」

「人生って、つまり私自身を対価にしろと?」

「二度とキュアン王の妻、レンスター王国の王妃だと名乗れなくなる。アルテナの母親、リーフの母親だと名乗れなくなる。僕のモノとなりこうして股を開くのが日常となるだろうね」

「……」

「キュアン王の命は助かる訳で、いつかアルテナ王女も救える機会も出来るぞ。君次第で……ね」

「好きにして」

 右腕で目元を隠しながら肢体を弛緩させた。

 キュアンの命が助かり、いつかアルテナが救われるならば、自分を犠牲にしてでも……という事か。

「まあ、夫を忘れろとまでは言わないよ。キュアン王としていた様にヤればそれで良いんだから」

「忘れさせてもくれない、意地悪な人ね……」

「これは婚姻と似て非なる儀式、だから先ずは婚姻で交わすべきを交わそうか」

「婚姻で交わすべき……」

 理解したらしくエスリンは目を閉じて、ゆっくりとユートに顔を近付けると、自らの意志で以てソッと唇を重ねた。

 唇同士を重ねるだけの、至極簡単なキス。

 一度顔を離したエスリンだが、今度はユートからのキスが唇を塞いだ。

「ん、んっ!?」

 ギュッと固く目を閉じ、重ねられた唇から口腔内へ侵入する熱いナニかに舌を蹂躙され、グチュグチュと辺りに水音を響かせる。

「んんっ、うぶぅぅ!」

 涙目となるエスリン。

 舌を舌で絡ませ舐めて、更には口腔内の頬肉も舐め上げつつ、逃げられない様に頭を押さえるユート。

「んんっ? んんっ!」

 並びの良い歯や歯茎まで蹂躙されて、また舌を絡められネットリと唾液が混じり合っていく。

 デローンと唇を放すと、粘液と化している唾液の橋が互いの口と口の間に架かっており、更に顔が離れたらプツンと途切れる。

 ドロッとした唾液が口元を垂れるのがエロティカルに見え、ユートの嗜虐心が刺激を受けたのかエスリンの膣内に在るチンポが更にガチガチになる。

「ひうっ!?」

 それを直に感じたのか、息を呑んだエスリンは今やユートのチンポを受け容れている現状を思い出して、今度こそ羞恥心からだろう真っ赤に顔を染めた。

「挿入した侭ではあるが、順番にヤって逝こうか」

 胸をはだけさせて慎ましやかなおっぱいを揉む。

「ん、ああ……」

 キュアンに開発されたであろうエスリンの肢体は、僅かな愛撫の刺激にも反応を示している。

 とはいえ、普通なら愛撫を少ししたくらいでこんな反応はしない。

 今現在、エスリンの肢体は可成り敏感である。

 互いの氣――生命力を混じり合わせる行為は元々、ユートが【ナコト写本】の精霊エセルドレーダを感じさせ、オーガズムに達せさせるべく開発した性技術。

 実際、第四次聖杯戦争でマスターテリオンを召喚したユートは、彼の宝具扱いだったエセルドレーダとのセックスで、見事にイカせて誉められたものである。

 ユートはエスリンのおっぱいへ舌を這わせ、脹らみの部分だけを舐めていく。

 一応は感じているけど、決定的な乳首という一番の性感帯は外され、もどかしくなっているらしい。 それでも感じているからだろうか? 乳首がピンと固くなっていた。

 挿入された部位は殆んど動かさないから、エスリンの性感覚が本能が男を求め始めた様だ。

 腰が僅かながら動く。

「まだダメだよ」

「――あ」

 止められて余計に性欲が沸いてきた様で、切なそうな表情で目には哀しみでも怒りでも無い、男に媚びる涙を浮かべている。

「あ、の、おっぱい……」

「揉んでるし舐めてるよ」

「そうじゃなくて、もっと上を……御願いだから」

 既に諦めてしまったか、エスリンはユートを求める事で罪悪感を脇に逸らし、セックスに耽って過去を忘れようとしていた。

 ユートのフェロモンにて感覚は鋭敏化していたし、背徳感がエスリンの性欲を高めている。

 ダメと言われて力を抜いてしまった瞬間……

「チューッ!」

「ヒッ!」

 一気に乳首を口にして、舌でペロッと舐めてから吸い上げた。

「アヒィィィィッ!」

 今までに感じた事も無い快感、しかもリーフを産んだばかりで母乳が溜まっていたから堪らない。

 まるで男がイッた時に感じるみたく射精感を感じ、母乳を一度に吸い出されたエスリンは、ピクピクッと痙攣をしながら気絶した。

「久し振りに飲んだな……母乳なんてモノを」

 何度か疑似転生をしていると、アイデンティティーが赤ん坊の時に甦る場合も偶にはあるから、肉体維持の為に母乳を飲む事も。

 尚、この世界に疑似転生をした時にはアイデンティティーが甦るのが可成りの遅れを取り、暗夜王国にて事が起きる約二ヶ月前であった為、あの美しいミコトのおっぱいの味は知る由もなかった。

「さてと、寝ていられてはつまらないからね」

 ユートはカプッと乳首を甘噛みしてやる。

「んっ!」

 刺激で目を冷ました。

「そろそろ動くよ」

 コクリ。

 視線を外して恥ずかしそうにしながら頷く。

 胎内がすっかりデキ上がって、もうセックスを抗うのは無理だったから。

(キュアン、ご免なさい。さようなら……本当に愛していたわアナタ)

 最後の最後に妻としての呼び掛けを心の内で呟き、明後日の方向を見つめていた目を閉じる。

 ズルリと長く太く硬い、ユートのチンポが半分ばかり膣内から引き出されて、すぐにまたズブリと押し込まれた。

「んうっ!」

 愛したキュアンのチンポではない、昨日まで名前も顔も知らなかった男のモノを意識する。

 大きさは明らかに元夫と比べられない程だったが、何故か痛みは感じずすんなりと出入りし、しかも快感を感じて甘ったるい嬌声を漏らしてしまう。

 ズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュズッチュッ!

 試しのピストン運動にて具合を確かめたユートは、少しずつ腰のグラインドを早めていった。

「あ、ああっ! アンアンアンアンアン……ああ!」

 キュアンじゃないのに、なのに気持ち良くなる。

 一度目の射精で精液にて濡れた胎内、愛液と混じり合って白い泡と化して女としての肉体を保護しつつ、快楽中枢を刺激して快感を引き出していた。

 ユートは既に最初の精液で傷の修復をしている為、エスリンは胸の刺傷から痛みを感じていない。

 グッチュグッチュグッチュグッチュグッチュ!

 キュアンは一律的な運動だったのに対し、ユートは緩急を付けたり擦る位置を微妙に変えたりする事で、エスリンの反応を確かめながら動かしている。

「んっんんっ! あああ、ダメなのにぃぃぃ、あの人のじゃないオチンチンがぁぁぁぁぁっ! 私の胎内を掻き乱してるのぉぉっ! 気持ち良くなるのぉぉ!」

 グッチュグッチュズチュズチュズチュグッチュグッチュグッチュ!

 M字開脚下衣足掛けと、正常位としては理想的だと云える状態、イヤイヤと顔を横に振りながらも両腕で目を隠すエスリンは、然し涎が口元を濡らして快楽に耽っているのを隠し切れずにアンアンと啼いていた。

 しかもミニスカは穿いた侭で、服装も着た状態ながらおっぱいははだけているとか、更には母乳が乳首の先から漏れているエスリンは顔の可愛らしさも相俟って性欲を掻き立てる。

 ギュムッ! M字開脚していた両の美脚がユートの腰に回った。

 所謂、だいしゅきホールドと呼ばれる状態である。

 無意識だったがキュアンがイク時みたいな、ユートの表情の変化をチラッと視たエスリンが、射精を促す様に精液を逃さない様にとガッチリ固めたのだ。

「う、っくっ!」

 ビュルビュルビュルッ!

 程無くユートが絶頂し、チンポから再び白く汚く熱い精液を発射した。

「あ、あ、アアアアアアアアアアアアアアアンッ!」

 それと同時にエスリンもオーガズムに達したのか、大きく口を開いて絶叫を上げるのだった。

「ハァハァ……」

 一仕事を終えて目を隠した侭に荒い息を吐く。

 巨乳でもなく貧乳でもなくて、形の良い美乳とも呼ぶべきおっぱいが上下しており、膣内は痙攣しながらユートの精液を呑み込む。

 子宮内を再び満たされ、またお腹がポッコリと膨らんだ気がした。

「抜かずの三発目とイコうかな? エスリンも期待してるみたいだし」

「え、違っ!」

 再び腰を振られて違うと言い切れずに始まる。

 三発目を射精されると、ユートが抜いたチンポの後からビュルルッと勢い良く精液が逆流、ポッコリお腹も元へと戻ったと云う。

 更にエスリンは口で御奉仕をさせられ、四つん這いでお尻の初めてまで奪われてしまい、右脚を伸ばした状態で横から挿入され四度目の射精、五度目は射精と同時に膣から抜かれて肢体を大量の精液に白く汚されつつ、また意識がブラックアウトしてしまう。

 目を覚ましたエスリンはキュアンの蘇生を見届け、再び謝罪と別離の言葉を口にし、ユートと共にイード砂漠から姿を消した。

 グラン暦七七六年。

 リーフ王子が祖国奪還に動き始めた時、歳の頃なら一三歳くらいのピンク髪をポニーテールにした少女、エリンが部隊に加わる。

 クラスはソードマスターな為、剣の腕前はリーフよりも上回っていたとか。

 何故かリーフはエリンに心惹かれて、フィンの娘のナンナがやきもきしたのは仕方がないのであろう。



.

- 5 -

*前次#


ページ: