君の鼓動と僕の鼓動 - 春風



「あ、蘭ちゃん、お早う!」


私が教室に足を踏み入れた途端、教室は一瞬シンと静まり返った。その後にワァァッとざわめきたつ。


「凄いね!剣道の大会で優勝したんだって?」
「おめでとう!」
「私、東雲さんが剣道しているなんて知らなかった!カッコいいねー!」


朝の教室に入るなり、次々と投げ掛けられる賞賛の声と好奇の視線。


「ありがとう」


差し障りのない程度の笑顔を浮かべて礼を述べると、皆は満足した様子だ。それに比例して、徐々に私の周りからはいなくなるクラスメート達。


私には常に一緒にいる友達なんていないし、作ってもいない。だから最終的に、私の周囲に残る人はいないだろう、なんて予想していたら…そうだ、いた。
たった一人。

あぁ、今から詰問の時間なんだろうなぁ、と内心うんざりしながらも、隣で私を穴が開く程見つめている藤堂平助を横目で見た。


第四章 隠された本音

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春風