嘘のようなホントの話







女という生き物は
なんと面倒くさい。



「しつけーよ」


朝から晩まで
一人、また一人と



「興味ねーから」


何度も何度も一暼されては
立ち向かう


"この人に気に入られて、縁を結ぶ事ができれば…"


それが本人にダダ漏れなのは気付いているのだろうか。









「…………………朝からおモテになりますねぇ。将軍様」

朝早く女共に囲まれている録嗚未が冷たい言葉を吐き、彼女らが散ったところで私は出会った。

軍長にはまだなれてはいないが最近名を上げまくっている彼の功績なんて城内の鼻が効く女共には格好の餌食。


「………………なんで、いんだよ」

「朝から可愛いお嬢様方に囲まれていいご身分ですね」

「あ?テメ…なんつった」


「いい加減黄色い声が五月蝿いので、身を固めてください。ショーグンサマ」

「喧嘩売ってんのか?」

「………別に」


ガンッ!!!!



私よりも体も身長も大きい彼に壁に追いやられ覆われ、凄い剣幕の彼に驚いた。


「興味ねーんだよ。あんな奴ら」


「うそ。内心喜んでいるんでしょ?
良いじゃない。男としての本望でしょう」


お互いが睨む。
昔からの旧知の仲。幼馴染と言っても良い。


「………俺の肩書きしか見れてねぇ奴らなんか興味ねーんだよ」


「はいはい。分かったからカッコつけんな」



目線を逸らし逃れるために抜け出そうとすると顎を掴まれ無理やり顔を向かせられる


「お前がいれば他はいらねぇだろ」



「……………は?


何言って…」


「そろそろ気づけよ。お前ホント阿呆」


「……………へ?」




抱きしめられる
耳元で呼ばれる私の名前はあまりにも生々しく体の中を通っていく。


一度離れた体だが腰は引き寄せられたままで後頭部から頭が引き寄せられ録嗚未の顔が近づいてきた。










嘘のようなホントの話









そのキスは柔らかく、触れるだけでわりとすぐに離れた。


「……なぁ、もう一度

「ちょっ、ちょ、待ったぁぁぁあ!!!」


「あ!?なんだよ!!!」



「わわわわわ、私は生涯抱かれる人は一人と決めているの!!」

「誰だよ」


「王騎様!!!」


「…………」






この後、この言葉に糞が付くほど腹が立った録嗚未は一兵士から数ヶ月で軍長となり第1軍を率いるところまで登り詰めた。とか



おわり




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