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日は暮れて来ているオレンジ色の光がカーテンの隙間から差し込んでいるのを見て、もうこんな時間なんだと思い。コナンくんを見送るために玄関へと行く。赤井さんがいないことを確認してドアを開けると「そんなに警戒しなくてもいいじゃん。」とコナンくんに言われてしまった。だって会いたくないんだもん。
一人部屋に戻り考えるのは赤井さんのことばかりで、どうしてあの時赤井さんは私のことを好きだと言ってくれたのか。でも、私の家族を殺したのは赤井さんで間違いない。では赤井さんが私に対してあぁいう風に言ってたのはなにか償いの気持ちからなのか。
自分が殺してしまった遺族へのそういった思いから私にあんなことを言ったのか。
自分自身に嘘をついて言った言葉なのだとしたら。
着信音のする電話からは彼の名前が記されている。
「はい、今?大丈夫だよ。」
「元気がないみたいですけど、どうかされました?」
「そんなことはないけど。」
「何かあれば協力しますので、言ってください。遠慮なく。」
「そうだね。」
「本当に、どうかされたんですか?」
「いやね、何もかも忘れられたら一番幸せなのかもしれないって思うよ。」
朝日がカーテンの間から差し込んでも起きる気にはなれずにまた布団の中へ身を鎮める。頭の中を整理しなくてはならない。
まず第一に赤井秀一は組織に潜入している時に私の家族を殺している。これは紛れもない事実であり確たる証拠もある、使用されたライフルは「チェイ・タックM200」これは赤井秀一ご愛用のライフルである。母の頭蓋骨付近で発見された銃弾もそれに当てはまる。指紋を残すような間抜けはしてないとして、これは覆しようのない事実である。
誰でもその銃を持てるのではないかと思うが、あの時の赤井秀一の表情を見ればわかる。無言は肯定。もし殺していないのなら彼は素直にそういうだろう。だがそれをしないということが彼が家族を殺した犯人であると物語っている。
第二に、私は赤井秀一から告白され。それを快諾している。いわば今彼と私は恋人状態だということ。「お前が欲しい」とは言われたが。それはどういう意味なのか。深く勘ぐっても良いものなのか。
もし、彼が償いの気持ちで私に近づいて、私の身を危惧してあの行動に出ていたのなら。
「私への気持ちは償いからくるものじゃないか。」
有名な小説家であるカミシア・エル・ジェイケールも言っていた「心から来た感情に嘘を探すのは不可能である。しかし、その気持ち以外のところから来た感情に探すのは案外容易で、当の本人も案外感情の経緯を知らないものである。」と。これに赤井さんのその感情が当てはまっているのならば私への気持ちなど容易に崩れてしまうであろう。
私はそれが怖かった。
赤井さんに会ったら赤井さんが私に向かって別れを告げるのではないかと。私は赤井さんともう2度と会えないのではないかと、危惧していた。
涙なんだか鼻水なんだかわからないものが口元に流れてきている。これをはっきりと確信めいて涙だと言えないところが女として終わっているのではないかと思って仕方がない。
「赤井さん、あなたに会いたいけど、会いたくないんです。」
先ほどから点滅をやめない携帯電話を前に一人呟くのはそんなことばかりで、自分がどれだけ赤井秀一という男に惚れているのかを自覚させていた。
ピピピピピピピピッ
仕事用の携帯から着信音がして、画面を見ると「降谷零」の文字が映し出されていた。
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