あれ、迷った。
ここは一体どこなのか、な?

トレビの泉に行くはずだったのに、人だかりに入ってしまって、運悪く3人とはぐれてしまった。運悪すぎるよ…よりにもよってイタリア人の3人とはぐれるなんて!

どうしよう…とととりあえずそこら辺を歩いてみよう!この辺はあまり人もいなくて静かみたい。おかげで誰にも道を聞けない!ここはどこ!


歩いているうちにどんどん迷っているような気がするなぁ…。

ん?あんなとこに女の子が?



「み、道が聞ける!」



私より年下かな?頼れるなら例え年下でも頼るべき!私は女の子に駆け寄ろうとした、その時、路地の階段を降りていた女の子の体が急に傾いた。

危ない!

間に合え!女の子の頭を守るように被さってバランスがとれなかった私はそのまま階段を転がり落ちた。


痛い痛い、心が痛い。
この転がる痛みはどこかで…?



「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」

「はっ!」



可愛らしい女の子の声で目が覚めた。視界には快晴の空と目を閉じたままの女の子と…そばかすの男の子。いつの間に増えたんだ?



「お姉ちゃん大丈夫…?どこか痛くない?」

「だだ大丈夫!」



大丈夫だと表現するように、ガバッと体を起こしたら頭が痛かった。でも心配かけたくないから大丈夫大丈夫!と言葉を連呼して誤魔化した。



「よかった…」

「えっと、あなたは大丈夫?」

「お姉ちゃんが守ってくれたから、私は大丈夫だよ!ありがとうお姉ちゃん!」



笑顔で言われて、可愛いなぁとにへにへしちゃった。女の子の横にいたそばかすの男の子が「食べる?」と棒付きキャンディーを差し出してきた。

え、とびっくりしていると私の手を取って握らせてきた。



「無茶はだめだよ、女の子なんだから」

「は、はぁ」



「あ、たんこぶ出来てる」と腕を捕まれて立たされる。何!またたんこぶ!

「やっぱりどこか痛いの?」と男の子の言葉に不安そうな顔をする女の子に、男の子は「大丈夫、大したことないよ」と頭を撫でていた。



「えっと、名前といいます…」

「名前ね、うん。よろしく」



男の子は私の名前を呟いて持っていたキャンディーを食べていた。ちなみに私が貰ったキャンディーはまだ右手に持ったままです。

「こんなとこにいたのか」声が聞こえると、そこにはまた別の少し大人びた男の子がいた。よく見ると日本人?



「ルカ、探したんだぞ」

「ごめんねヒデ、ちょっと動けなくて」



2人は少し話しをすると、私の方を向いた。後から来た日本人の男の子は「なるほど」と言って心配そうな顔をして私に声をかけた。



「たんこぶくらいなら大丈夫だと思うが、病院まで送ろうか?」

「わっ私なら、大丈夫です!それよりこっちの子の方が…」



女の子を見ると「ルシェだよ」と自己紹介してくれた。可愛い。「彼女は目が見えないんだ」と日本人の男の子に言われて、私はびっくりしてしまった。



「俺はルカ」

「ルカ…さん」

「なんだろう、この違和感」

「だって年上っぽいから、!」



そばかすの男の子に慌てて言ったら納得いかないのか「うーん」と眉を潜めた。



「やっぱりルカでいいよ」

「いや、私そういうの慣れてないんで…」

「ルカって言え」

「はい分かりました」



満面の笑みで今度は納得したように頷いて、棒付きキャンディーをまた私の手に握らせた。まださっきの食べてないのに…。

というかルカは黒いと思う。凄く黒い。一之瀬くんもたまに黒いからちょっと思い出して身震いしてしまった。



「ちなみにヒデも名前で呼ばないとボコボコにされるよ」

「なんと!」

「こらルカ」



ががが頑張って名前で呼びます!
と汗をダラダラ垂らしながら言ったら苦笑いをされた。ボコボコ…!怖い!



「ところでなんで1人でこんなとこに?」



はっ!



「助けてヒデ!真っ黒なフィディオくんにボコボコにされちゃう!」



3人が何故か私の言葉に反応したのが見えた。え、冗談だよ?ボコボコなんてされないよ?…されないよね!?
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