旅行なんて久しぶりだな…そういえば海外だから文化とかいろいろ違うんだよね。ちょっとここで生活するのが楽しみに思えてきたかも。
というかここは一体どこなんだろうか、一之瀬くんも土門くんもいない、でも人はたくさんいる、言葉はかろうじてしか通じないけど。
「危ないっ!」
え?
声の方に振り向こうとしたら顔面に何か固いものが勢いよくぶっ飛んできた。
ナイス顔面キャッチをしたのはいいが、なんだろうめちゃくちゃ痛い。
「すみません!大丈夫ですか!?」
「は、えと…大丈夫」
「わ!おでこ真っ赤!痛くない?本当に大丈夫!?」
「あの、平気です落ち着いてください」
多少の英語なら分かる。上手く言えてるかは分かんないけど、日本語もたまにうまく言えていない時もあるし、でも英語よりは遥かにペラペラに喋れるって自信はある。(何の自信)
コツンと足にサッカーボールが当たった。あぁこれが飛んできたんだなと思いながら両手で拾った。
すると目の前にいた少年がニコニコしながら軽快に英語で何かを言っている。
何故だろう、頭ごなしに訳の分からないことを怒鳴られているような感覚がした。うー、だんだん頭が痛くなってきたかも…。
「もしかして痛む?ちょっと待ってて!」
少年がどこかに行ってしまい、よく周りを見てみたら空港を出ていたみたいで、空港の外の小さな広場まで来てしまっていた。
一之瀬くんたち探してるかなぁ…
「わ!」
いきなりおでこに冷たいものが触れた。よく見たら缶ジュースで、それを持っていたのはさっきの少年。
「こんなことしか出来ないけど、本当にごめんね」
何か申し訳なさそうな顔をしているから、多分心配してくれているんだろうな。頭の痛みもなくなってきたからとりあえず笑顔で返したら少年も笑ってくれた。
「俺フィディオ。君は?」
「私は、名前…です」
「名前!!」
「あ、一之瀬くんっ」
一之瀬くんの姿を見ただけですごく安心した。もう1人金髪の少年も連れているけど気にしないことにする、だって一之瀬くんがいれば何も怖くはない!
彼は私の救世主なのだから。