「あーあ、こんなに腫れちゃって…」



一之瀬くんに冷たい湿布をおでこに貼られた。まるで熱を出したみたいで恥ずかしいな…。でも心配してくれたんだし、迷子になった私が悪いのだから何も言えなかった。



「本当にごめんね」

「ってなんでフィディオまでアメリカにいるんだよ」

「なんでって遊びに来たんだよマーク、遊ぼう」

「イタリアに帰れ」



え、フィディオくんはイタリアの人だったんだ!英語ペラペラだったからこの辺の人かと思ったよ。

私が関心したような声を出したら、一之瀬くんはムッとした顔をしてフィディオくんの方を向いた。



「あんなところでサッカーするなよな、人に怪我までさせてるんだからもうちょっと場所考えてやってくれよ」

「うん、ごめんなさい…」

「い、いいよもう…タンコブ程度だし!」

「ありがとう名前!」



ニコッと笑って私の手を握ってきたので、びっくりしたけどこれがイタリアでは当たり前の挨拶なのかと思って、とりあえず私も握り返すことにした。



「マーク、俺名前と遊ぶから帰っていいよ」

「帰るのはお前だろイタリア人」

「まぁまぁ」



土門くんが笑いながらマークくんを宥めて「ひとまず名前も見つかってよかったってことで!」と頭を撫でてきたので髪の毛がぐしゃぐしゃになった。
「名前の方向音痴には慣れてるしね」と一之瀬くんも私の髪の毛を更にぐしゃぐしゃにした。本当に申し訳ないと思ってますからもう撫でないで!



さっき紹介してもらった一之瀬くんと土門くんの友達、マークくんとディランくん。ついでに幼なじみらしいフィディオくん。
3人とも優しくてかっこいいからきっとモテるんだろうな…

そういえばマークくんは初めて私の顔を見たとき少し驚いた顔をしていたかも、私そんな変な顔してたかな…それともタンコブが目立ってて変な生き物に見えたとか。

どれくらい腫れてるのか気になって、おでこを触ってみたらズキッと痛んだので触るのを止めた。



「名前」

「え、マークくん?」

「いやその…なんでもない。おでこ、大丈夫か?」

「大丈夫だよ!私頑丈だし!」



ガッツポーズでアピールしたらマークくんに少し笑われた。しまった、日本のノリはアメリカでは通用しないのかもしれないよ綱海くん!


「いいね名前!ミー、君のこと気に入ったよ!」


1人には通用するよ!
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