結局のところ、名前以外に上鳴、三奈、切島、砂藤の5人が補習組となった。上鳴が逆ギレしながら緑谷に八つ当たりしているところを名前は大笑いするし、三奈はグズグズと鼻を鳴らすし、瀬呂は自身の結果はよく分からないしで教室は混乱していた。
その後、教室に入ってきた相澤先生が目を見開いた笑い方をしながら「合宿にはみんなで行きます」と行った瞬間、どんでん返しだぁぁと5人は叫ぶ。上鳴はアホ面だった。ちなみに、試験の際峰田を庇いミッドナイトの個性で眠らされていた瀬呂も補習組に仲間入りした。
しかし、これまでも何回か合理的虚偽を重ねられていたらしく、飯田は咎めていたが。それでも皆で合宿には行ける上に(居残りするよりもキツイらしいけど)明日数人で買い物に行くこととなった。初めての友人との外出に名前は胸を高鳴らせる。

「私全然旅行系の荷物ないや。正直何いるかもよくわかんない」
「着替えは勿論いるけど、タオルとかは準備してくれるって言うしね。あと、洗顔とか化粧水とか?一週間だもんね」
「あー、なら大きめのキャリーとか必要だよね。買わなきゃなかぁ」
「私もだわ」

名前は響香と必要なものをリストアップしていく。なかなか買うものが多そうだ。実は名前の生活費は母からの送金なのか国からの助成なのかはっきりしていない。何度尋ねても校長先生がはぐらかしてしまうのだ。が、急な出費の際には校長先生に書類を申請して、翌日には口座に振り込まれている。まるで校長先生に借りているみたいで、本人は嫌がっているが。

「けどあんたが補習になるとはねー……そういや、うちらが実践試験やってる間、何やってたの?」
「……聞きたい?」
「え、やばいこと?」
「ひったすらブラド先生と戦ってた。バテても許してくれないの。死ぬかと思った」
「うわ……」

お疲れ様でした、と労ってくれる響香に頭を下げる。響香だって耳の中から血を流すほど頑張ったのだ。本当にすごい。お疲れ様。
それにしても名前には腑に落ちない点が1つある。考えこんでみるが、本人に聞いたほうが早い。そう考え付きモヤモヤを解決させるためにも、名前は教室を飛び出し、廊下を走り抜けた。途中すれ違ったミッドナイトに怒られもしたが、早足で駆け抜け、職員室の扉を開いた

「相澤先生!」
「どうした」

職員室の奥の方から相澤先生が顔覗かせる。手にはいつものゼリー飲料と出席簿があり、食事中だったのかなと思った。いやそんなことよりも。
つかつかと先生に詰め寄り、少しだけ声を荒らげる。

「私なんでやる前から補習確定だったんですか?!」
「この間も説明したろ。二度手間は非効率的だ」
「この間は放心していたので!端的にでいいので教えてください!」

先生ははぁ、と溜息を吐き、もう言わんぞと呟く。私はもこくりと頷く。先生は疲れた顔をしながら、出席簿でいつかみたいに頭を軽く叩いた。

「初日サボった罰だ」
「失礼いたしました」


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