それは、毎週木曜の放課後、人気の無くなったA組教室で密やかに行われる。これは女子にも先生にも言えない、一部の男子たちの秘密の時間。

「よっしじゃあ今回も不毛な会話をしていこうぜ!」
「なんで俺まで参加なんだよアホ面!!」

BOOOMと掌から爆発を上げる爆豪をまぁまぁと瀬呂が宥める。

「つか、爆豪参加したことねーっしょ?」
「したくもねーわ!家で寝てた方がよっぽど有意義だわクソしょうゆ顔が」
「フッフッフ……初めての爆豪には教えてやろう」

こつりと足音を鳴らすのはこの会の発案者、峰田だ。そもそもこの会は彼が欲を誰かと共有することで更に上の世界へと登ることを目的として始まった。説明を聞いても訳がわからないと爆豪は吠える。彼にとってはそんなことどうでもいいのだ。
最初は切島は男らしくねー!と同じく吠えていたが、彼も一応男子高校生。気になる話題はやはり気になるようで。
少しだけ大人しくなった爆豪と峰田、上鳴、瀬呂、切島を含め、参加者は10人。緑谷、轟、障子、尾白、砂藤だ。その5人はなんで俺まで……と思いながら着席している。しかし5人とも参加理由は切島と同じだった。やはり、そういった話題は何だかんだ楽しいものである。

「で、今回の議題は名前っつーことで」
「あー、ぶっちゃけ爆豪には天敵だよな」
「アァ?!余裕で殺せるわ!!!」
「いやだって考えてみ?」

煽るように瀬呂と上鳴は、指折りながら爆豪に説明する。

「まず名前の個性発動するとき舐めるのって自分の時は血じゃねーとダメみたいだけど、他人なら体液なんだろ?」
「爆豪の個性汗腺からニトロみてーなのが出るって4月の戦闘訓練で緑谷に言ってたじゃん?普段から汗かきやすいよう動いてるし」
「名前はお前に捕まったとしてもどうにか汗とか血とか舐めちまえばお前を線香花火にできる」
「誰が線香花火だてめーを燃やしたろか」

つかんなことされる前に爆発したるわ!!!
そう叫ぶと緑谷がなるほど、と呟く。

「かっちゃんが爆発すれば傷がつくから名前さんは短時間とはいえ超スピードでかっちゃんを翻弄できるのか」
「正解だぜ緑谷!さすがのお前もあの速さなら1つくらいは傷つけられんだろ。」
「確かに…俺らは初日あいつに全滅してる」
「うっせんだよ舐めプ野郎!てめーもだろうが!!ちっせぇ氷柱みてのしか出来なくなってたろうが!」
「あー、そういや俺もやばいな。道着みたいなスーツだから肌見えてるとこ多いし。尻尾も丸出しだし」
「それなら俺もだな。腕が多いぶん攻撃も受けやすい。奇襲は備えられる点プラマイゼロかもしれんが…」
「そういえば尾白くんと障子くんの時は個性どうなったの?」
「あん時は力入んないっていうか…こう、だらんと…ははは」
「俺は複製のスビードがかなり落ちた」
「俺は爆豪と同じ理由で、特に左は使えねーし……となると、1番あいつに有効なのは瀬呂と切島くらいか?」
「あー、遠距離型とかか。瀬呂のスーツ露出ゼロ…じゃねぇな。半袖だったわ。なら飯田とか」
「切島は傷つかないしな〜。自分のパワー上げようにも切島が防戦しちまったら何もできねぇし、持続力課題だって言われてたもんな」
「いやでも俺自身が機動力無いからな〜」
「あー、なら……」

新しいクラスメイトの個性と対応法について比較的有意義な議論を交わしていると、バァン!と峰田が机を叩く。9人は驚きそちらを見る。そこにはふるふると怒りに身を震わせる峰田がいた。

「てめぇらなァ……オイラはんなクソ真面目な話したくて集めたんじゃねーんだよ……どエロい話したくて会開いてんだよ!!」
「お、おぅ……」
「ならまずは峰田がスタートだな」

瀬呂の言葉に峰田が待ってましたと言わんばかりに話を始める。さて、彼はどんな欲望を持っているのか。ぽきりと指を慣らす峰田に、全員がゴクリとつばを飲んだ



続きます。次回、くだらなさ全開。



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