Be mine.

「みぃーて! 隆弘! 四つ葉のクローバーみっけたよ!」

 パタパタと意味もなく両手を振り回して、リリアンが隆弘の背中に突撃してきた。丁度ソファに座って煙草を吸っていた隆弘が

「ぐぅっ」

 と低い声をあげる。隆弘の首に回された白い手には宣言通り四つ葉のクローバーが握られていた。隆弘が背後を振り返りリリアンを見ると、ゴールドの台座に嵌められた装飾品のようなエメラルドの瞳がニコリと笑みの形に歪む。

「隆弘にあげるねー!」

 四つ葉のクローバーを手渡されたので、隆弘は煙草をくわえたままクローバーを受け取った。そうして四つ葉のクローバーをまじまじと見たあと、ゆっくりとリリアンに振り返る。

「……意味わかってやってんのか?」

「花言葉のこと? ロマンチストだねー! 隆弘!」

「へっ」

 手に持たされた四つ葉のクローバーをくるくると回し、隆弘は煙草を灰皿に押しつけた。そのあとリリアンの首に手を回し、引き寄せるようにして彼女の耳元に口を押しつける。
 リリアンの肩がビクリと震えた。一瞬だけ大きく揺れた彼女の肩を隆弘の手が掴む。

「じゃあ明日、四つ葉のクローバー見つけてくる。そうしたら、お前にやるよ」

 直接耳に注ぎ込まれるように言われた言葉にリリアンの肩がまたビクリと震え、隆弘が腕に力を入れて彼女の身体を抱き寄せた。

 Be mine.わたしのものになってください
 四つ葉のクローバーの花言葉は、耳ではなく、口に直接注ぎ込まれた。

 隆リリへのお題は『幸せ色クローバー・君の未来をちょうだい・ふるえる肩を抱き寄せた』です。
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