以心伝心

遠出した先で、昼食にしようと安さが売りの某イタリアンレストランに行ったときのことだ。
注文は定番のパスタとドリンクバー。向かいには付き合い始めたばかりの彼がいる。ここに来る間にもたくさんの女が振り向いては残念そうに去っていった。恐らく自分がいなければ彼は大勢の女性に囲まれていたはずである。そのくらい彼は美丈夫であった。

「ドリンクバーはセルフだったな、先行ってこいよ」
「ん、そう?じゃあお先に」

ドリンクバーの場所に来てしまってから、相手の分を聞いてくればよかったと思った。しかし、どうせ彼が持ってくるものはいつも決まっていると思い直す。彼は生粋の御曹司のくせに、自分が行くからと言ってこのような安いレストランにもよく行くのだ。
自分の分のコーヒーと、彼の紅茶を持って席に戻る。向かいにカップを置くと、彼は少し驚いたような顔をした。

「よく分かったな」
「まあ、いつもこれだし?」
「…悪ぃな。自分で行く手間が省けたぜ」
「いや」


【隆リリ語り】ドリンクバーで、どちらが先に行くか?相手の分は持ってくるか?などについて語りましょう。 http://shindanmaker.com/169048

さりげなく通じ合っているといい。
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