「もう!なんでいつもグレルの紅茶はしょっぱいのよ!」
「仕方ないじゃない!」
グレル。
長髪の赤毛にボルドー色の燕尾服を着た私の執事。
「グレルー髪巻いて」
「いいワヨ」
綺麗な巻き髪が完成した。
「グレルはこういうのは上手なのになんで紅茶が上手く淹れられないの?」
「もーう、うるさいワネ!マリアのその髪グチャグチャにするワヨ!」
「ごめん、グレルー」
紅茶を淹れるのは下手だけど、グレルが選んでくれるお洋服や小物はとても可愛いしお化粧もとても上手。
「グレルー歌って」
「いいワヨ。その代わりマリアはヴァイオリン弾きなさい」
夜、バルコニーで、私はヴァイオリンを弾く。
グレルは歌う。
グレルは歌もとっても上手いの。
マリアはヴァイオリンを弾く。
アタシはマリアに愛の歌を歌う。
マリアはグレルを想い、ヴァイオリンを弾く。
グレルはマリアを想い、歌う。
二人が奏でるセレナーデ