28、お風呂

清潔な布団で眠れるなんていつ以来だろう。
まともな食事にありつけるなんて何ヶ月ぶりだろう。

せっかくだから少しだけ眠り食事をいただく。
感謝と笑顔を忘れずに。

そしてすぐに出て行く―――はずだった。


『お風呂に入っちゃってください、テッド君』


あっという間に浴室に押し込められ、
洗濯するから、と言って着ていた服も取り上げられた。

・・・・・・・はめられた?
んなわけない。
しかし・・・・・・・どうやって出て行こうか?

なるべく早く出て行きたいと思うのは、心の中で鳴る警告が一際大きな音を立てるから。

ここはあたたかい。
暗く冷たいところにばかりいたこの身には少しあたたかすぎる。


『お湯加減はどうですか?熱くないですか?』


熱いよ。
その優しさが。


「大丈夫、ちょうどいいです」


不安を打ち消すように殊更明るい声を絞り出すと、
金髪の従者が柔らかく微笑むのがまるでそこにいるかのように目に浮かんだ。

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