アネモネの華


何処だろうここは。

「え、マジでどこだここ」

えーと?私さっきまで何してたっけ……?
たしか、源外さんのとこにいったような……

「……あ、」

『おーい。じいさんきてやったぞー。』
『おぉ!いいところにきた銀の字これ、ちょっとばかしみといてくれねぇか?』
『なに……て、あぁこれか。……というか見とく?また実験じゃなくて?』


実験……っていうのは聞こえがわるいが実際はこの機械の中にはいって仮想空間を体験する、ということをしばらく私はやらされてた。

ゲームの内容は毎回ちがっているが、毎回ミッションが決められている。この人物を助けろとか、爆弾を処理しろ、だとか。
ゲームの中だといってもそこは源外さんの腕なのか天人が持ち込んだ技術のおかげなのか(実際は両方があわさってなんだろうけど)そのミッションで怪我をすると痛みはちゃんとある。
だからこそ下手にGAME OVERになんてなれない。
というかGAME OVERするな、といわれている。

なんでもゲームの中、だといっても実際の体に影響を及ぼすといけないからだとか。
だから何かしら巻き込まれててもピンピンしてる私にこの実験を頼んできたらしい(たぶん指名手配されてる手前ほかの人に頼めなかったっていうのもあるんだろうけど)
GAME OVERになるなだなんて、実際これ実用化するとしたりどーするんだろ。
GAME OVERする人でてくるだろ。

それを気にしていたら源外さんは
『お前のデータから大丈夫な範囲を割り出してる』
だとかぬかすからどうにかなっているんだろう。


そして何回かこんな感じで源外さんのお手伝いをしていて、また呼び出されたとおもったら今日はいつもみたいに実験じゃないみたいだ。

『……あぁ、ちょっくら出かけることになってよー。だからこの機会を1週間預かっててほしいんだ。』
『……なんでまた1週間?え、源外さんどっか旅行にでもいくの?』
『……息子の命日なんでな、墓参りに行かねぇとなんねえだ。』
『……1週間も?』
『まぁ、遠い所に墓たててちまったからな……』
『……そんなことぐらいなら全然ひきうけるって!』
『ありがとうな。銀の字。』
『で、もう行かないといけないんじゃないの?』
『あぁ、じゃあよろしく頼んだぞ』
『おう!いってらっしゃい!』



……………………、で、なにがあったんだっけ……?

『あ。どこからはいったんだ?この猫……っておい!?どこのボタンおして……!っ危ねぇ……!』


「あ、それで……」
なんかピカっとして光ったとおもったらここにいたのか……
「……。源外さんになんて説明しよう。というか



……ここ


どこ?」

周りをみると江戸ではない様子、何処か路地裏で、むしろここは昔の 私がいた世界 だ。
ごくりと唾を飲み込んだ。
もしかして、戻れたのかもしれない。
だって仮想空間の機械には乗り込んでもないしいつもみたいに仮想空間につながるための機械もつけてない。

事故でも、なんでもあのセカイから、主人公という立場から休息をくれたことに安堵してる自分がいることに胸がスーとした気がした。

さっきまで、普通に会話して普通にあのセカイで生活していたのにこの、自分の切り替えのはやさに嘲笑う。

、疲れていたんだ。
家族のような神楽や新八がいても、どうしょうもなく元の世界の夢をみては目覚めてまた戻れないことに絶望して、
元の世界にもどりたいって、いつか戻れるって
死んだわけでもないのに勝手に別の世界にシフトチェンジさせられて、つらくて。
あのセカイを知ってたから
銀色の髪を持つアノコになって、絶望しかなかった。
セカイに色をくれた先生を私の手で葬った。


でも、いつかは元の世界に戻れるんじゃないかって、
夢なら覚めてくれるって


心のどこかで思っていたんだ。


「……しめっぽいのはやめよう、私らしくない」

私ってなんなんだろうな?
と誰かの声が聞こえた気がした。




まずは持ち物を確認するところから始めよう。
そして服装。

えーと持ち物としたら
「携帯と、あとなんだこの紙切れ……」
ぐしゃっとなった紙切れには住所と名前が書いてあった。あとはその住所の家のものなのか知らないけれど鍵、そして元々あちらでもっていたとおもわれる数千円

「坂田、名前……。私の名前か……」

とりあえずこの住所にいってみるべきか。……なんだか用意周到のとこに疑問を感じるが。
そして、今の服装、いつもの着物ではなく水色のワンピース……
これあれじゃね?某洋服屋とのコラボ……
……まぁきにしないでおいておこう。
とにかく現代社会だと浮かない格好だということがわかればそれでいい

そうとなれば住所のところにいくか。……警察に頼るのは癪だが(あっちの世界であいつらに色々まきこまれすぎていい気持ちがしない)交番もしくはコンビニにでもいけば地図をくれるだろう。

あ、でも携帯があるんだったら携帯から調べたらいいか。
携帯をとりだして地図アプリをひらくと現在地がでてきた。
そして住所らしきところを入力すると現在地からその場所までのルートがでてきた

「……(だいたい徒歩10ふんってところか……)」

まぁとりあえず行こうかな。
今の状況じゃこんなことぐらいしかわからないし。
家にいくとまた何がでてくるだろ。


そして10分ほどあるくとマンションらしきものが見えてきた。
オフィス街なのにマンションたてるってめずらしいなぁ。


「ん?あれって」

私の住居であろうマンションの目の前には”毛利探偵事務所”の名前

「……まじか」


なんだか嫌な予感すんだけど
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