Memo

2017/05/14

白軍/中期
尾張くんはイエスマン。

 あのね尾張くん手伝って欲しいの。あのね尾張くん相談に乗って欲しいの。あのね尾張くん尾張くん尾張くん。好きなの、付き合って下さい。

 あのね尾張くん手を繋いで。お願い尾張くん熱いキスをして。あのね尾張くん、優しく抱いてね。

 ねえねえ尾張くん、いつもいつも私ばかり。どうして何でもやってくれるの。なのにどうして「私だけ」が特別じゃないの。私はあなたがこんなにも好きなのに、まるでこれじゃあ一人相撲してるみたいだよ。私、もう、疲れちゃった。
 別れてください、尾張くん。

「いいとも。君がそう望むなら」

 あなたのその答えは、私で一体何人目?

**

「クズじゃ、クズがおる」

 白昼堂々、爽やかな風に晒されながら霞はずばり言ってのけた。それを聞いても尾張は困った風に笑うだけ。

 学校の中庭にある大木の陰で、霞はいつも通り昼寝をしていたはずだった。しかし突如現れたクレイジーと尾張に睡眠を妨害され、やんややんやと話し込んでいる内に話題は尾張恋愛遍歴に移ったのである。霞からすれば酷くどうでもいい話題だったのだが、主催者であるクレイジーが乗り気であったし、何より制止する意味もないと思った。

 だから好き勝手させていたのだが、結論から言ってとんだ痴態を聞かされてしまった。この手の話題に決して明るくない霞ですらそう思う程だ。しかし当事者は何てことのない日常の一コマを語ったと言わんばかりに、おだやかなものである。

「女の子の気持ちに応えるのって、難しいよねえ」
「そういう程度の問題か?」
「ハハハ尾張、我が友よ! 君はとんだプレイボーイだったわけだな! オレとしたことが全く想像していなかったぞう!」
「プレイボーイだなんて、そんな」
「ちなみに過去最高は同時に何人? キミ、人がいい癖に断らないからそんな事もあっただろう?」
「どうだろう、四人くらいかなあ」
「ヒュウ! こいつは驚きだァ!」
Category : 中期組
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