甘酸っぱくも塩っぱくもないの

及「なまえー、ペンとって」
「いやだ。自分で取って」
花「なまえー、赤ペン持ってね?」
「あるよ!はーい、」
及「え!なんで俺のは聞かなかったのに、まっきーのは聞くわけ?!」
花「日頃の行いだな、」
及「何そのドヤ顔うざ!」
岩「うっせえ及川」


夏のうだる様な暑さが例年通りにやってくる。その度に暑い暑いと不平を言って去年、どうやって凌いだのかを探るが、そういえば去年もこうやってこのメンバーで暑い暑いと解決もしない体たらくな話しをしていたなあと思い出した。つまり対処法なんて毎年ない。


松「なまえ、だるそう」
「うん、すごいだるい」
花「髪の毛暑いから上げてんの?」
「そーだよ。下ろしてたら蒸れて死ぬ」
及「俺がなまえの熱を冷ましてあげようか」
「…いいです。方法気になるけどいいです。」
及「ひたすら吐息を吹きかける」
「臭いし逆に暑苦しい」
及「く、くさくないし!」
花「及川今のはねーわ、」
松「ほんと、発言からクサイ」


蝉の鳴き声が忙しなく聞こえてくる夏に嫌気がさす。大男に囲まれているこの状況もなんとなく暑苦しい気はするがとりわけ嫌ではなく、だらだらと話は続く。無造作に纏めただけの髪を後ろで弄り続けるまっつんの手もどこか心地よいし、まっきーの柔らかい笑顔も、岩ちゃんの真顔で及川を見つめる様も、わたしを夏の鬱陶しさから開放させるには充分な気がした。


松「なまえ髪の毛上げるの似合う」
「そう?」
松「なんか、エロい」
「え、」
松「うなじがそそるワ」


髪にあった手がいつの間にか首元に降りてきて、うなじあたりがさわさわと撫でられる。こンの変態。と悪態をつくのも面倒だし、ただそのまま身を任せていると、案の定騒ぎ出す及川。


及「まっつん!なにしてるの!」
松「なにって…愛撫?」
「ちょっとそれは語弊生む」
花「フェロモンに宛てられたらそうなる」
松「うなじってロマンスだぜ」
花「お、名言」


クラスの喧騒は相変わらずで、男の子が考えることも相変わらずだ。楽しければそれでどうでもいいが、妄想に巻き込まれるのはごめんである。

その時、ふいっとまっきーがなにかに気がついた。目を合わせるとお前、と言葉が続く。ピンク色の髪の毛はふわふわしていて、男の子らしくない甘い匂いが空気を通して伝わる。


花「この前告られたやつどうなったべ」
「あー、それ?一回デートして無理ってなった」
松「え、告られたの?」
及「俺も初耳!まって、デートまでしたの?」
「したした。どうしてもって言われたもん」
岩「…危なっかしいことするな、」
及「そーだよ!危ない!それは」
松「んで。楽しかった?」
「いーや。女々しくて楽しくなかった」
花「そっかそっか」
「わたし岩ちゃんみたいな漢が似合う人がいいのわかってなかったネ」
及「え?及川さんじゃなく?」
松「俺も男らしいって元カノから言われたことあるけどなー」
「はいはいナイナイ」


購買で、まっつんと一緒に買ってきたプリンの蓋を開ける。半分こ、という定義で奢ってもらったのできっちり半分でやめて後ろに回す。食べさせて、なんていう問題発言を聞き流して机の上に置くと、つれない、と唇を尖らせておとなしくプリンを頬張る彼が少し可愛らしい。


花「彼氏つくんねーの?」
「んー、伸び悩んでます」
及「いつでも俺待ってる」
「及川はファンが面倒」
松「俺でしょ、」
「はいはい。彼女どこいったー」
松「もう潮時なう」
「いるんじゃん。大丈夫、最終的には岩ちゃんにもらってもらうから」
及「え!ずるーい」
花「なまえ、岩泉好きだな」
松「ま、当本人の意見はどうだかなー」
「え、岩ちゃんだめスカ、?」


一斉に視線が岩ちゃんへと移る。ただ話を聞いていたであろう岩ちゃんの答えに期待はできない。


「そんなの困ったらいつでも俺がもらってやる」


何食わぬ顔で平然と言ってのけた岩ちゃんは、次の授業の準備を始めているようだった。え、ちょっと待って。胸がときめいたのはわたしだけではなかったらしく、他3人からも歓喜?の声が湧く。


松「…今のはやばいよ」
花「男の俺でもきたわ」
「ほんとに、もらってね?」
岩「おう」
及「まって。岩ちゃんすごくずるい!男か!」
岩「男だ」


((岩泉最強説))


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ネタです。言われたかったんです。ふざけてゴメンね。
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