短い命で結んだ縁
「どんなに平凡であっても、幸福に終えることができる来世をお祈りいたします」
彼に最後の言葉をかける。すると、彼の姿は消えた。転生に成功したのだ。私は思わずため息をついた。私にとって、これが最後の仕事だ。
天使とは、この世に生まれることのできなかった、または生まれてすぐに病気などで死んだ人間の魂だ。そして、自分に最も縁深い人間の転生を行った後、その職務は終わり、転生することが可能になる。
「そういえば、先輩も今日で終わりって言ってたな」
すると、先ほど自分が入ってきた扉をノックする音がした。
「よ!」
出てきたのはサツキ先輩だ。
「仕事、終わりました?」
「ああ。だから、ちょっと君の仕事ぶりを見ていたよ」
「悪趣味」
「うるさいよ」
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