次の人生で狂う縁
「現世では兄弟でも、この世界ではそういう訳じゃないし、問題ないよ。転生までのわずかな時間イチャイチャしに来たのにそんな暗い顔されたら困るな」
「……はい」
「はい、といいつつまだ暗いよ。あ、俺と離れるのが悲しいか?」
「……そうですね。転生した先で先輩と出会えるかもわかりませんし。そもそも性別もどうなるか」
「どんな形であろうと、俺は君を探す。そして、守ってやる」
「先輩みたいな人に守られるほど弱くないですよ、私」
「ふふ……元に戻った。それでこそカエデ」
先輩は楽しそうに笑うと、ぱっと離れて、テレビに近づいた。そして、その縁をつつとなぞる。
「この妙なテレビや部屋ともお別れだ。俺はともかく、君は意外と早かった。もっと、長引くだろうと思ってたから、油断してた。……こんなに早いなら、君にもっと早く思いを告げてもっと色々なことしてやればよかった」
「色々、ですか。すればいいじゃないですか。キスもできないヘタレが」
「……うるさい」
「最後の最後まで何もしない気ですか。あと、少しですよ。後悔、してもしりませんよ」
「…………」
「あー、もうじれったい!」
先輩のもとに近寄って、無理やり奪ってやると、先輩の目は大きく見開かれた。
「……ダメじゃないか。こんなことしちゃ」
「たとえ、この行為のせいで来世で不幸になろうが、今の気持ちに従って行動します。それが私です」
「うん、まあ、それでこそ俺が惚れた子だけど」
「ああ、もう、時間です。どうします? もう一回します?」
「ああ、そうだね」
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