9月第4土曜日
Ryuto Kazuhara
「龍友くん、大丈夫?」
「…えっ!?」
「体調悪いん?」
「や、何で?大丈夫やで?」
「そ?」
ライブ前の食事中。
同じタイミングで食事をしてた亜嵐君にそう言われてハッとした。
あかんあかん。集中せな。
こんなこと、今まで無かったのに。
気が抜けてる証拠や!と、気合いを入れ直した。
集中出来てなかった原因は、確実に昨日の夜のこと。
全員揃ってのリハの後、たまたま同じタイミングで出ようとした玲於と隼と、飯食って帰るか!ってなって、マネージャーにこの近くにある店に予約を入れてもらった。
たまに訪れる店だから、車を停めに行ったマネージャーを待たずに先に店に入ったら、見間違えるはずのない女性の後ろ姿。
向かいに座る見知ったイケメンが楽しそうに話しをしているし、100%レナちゃんやと確信した。
歩く足が緩み、後ろに居た隼が龍友くん?と小声で聞いてくる。
見知ったイケメン…亮平さんとレナちゃんはこれで付き合ってないという。
先週末、レナちゃんに聞いたらホンマに無いみたいやったけど、こうやって一緒のところを見たらまだ疑ってしまうレベルなんやけど。
…自分では、何でこうして気にしてるのかの理由はもうわかってる。
レナちゃんにすごいスピードで惹かれてるからや。
大事な時期や、あかんって思う。
でも今後こんな人に出会うこと無いやろうと思えるくらいの俺の理想に出会ってもたから。
「もー止まらんわ、な。」
一回、認めてしまえば止まらん。
ジェネの成功もレナちゃんも、どっちも手に入れたい。
「え?何?龍友くん。」
「何もないよ」
「えっと、ほんと頭大丈夫?」
「何で頭限定やねん。せめて他のとこ心配せーや。」
「わはは」