10月第4火曜日2
Reo Sano
もう欲しくて仕方なくて、そしたら隠すことができなくなって、好きと伝えてしまったけど。
好きだと言葉にしなければ、言葉を隠すように、好きの気持ちも一緒に隠せていてたのかも?
いや、やっぱり隠せなくなってたから、無理だったんだ。
…なんて、頭の中はマジでわけわかんなくなってる。
でも俺が一番欲しかったもんを手に入れた龍友くんに対して、不思議と妬みとかマイナスの感情は生まれなかった。
手に入れなかったのは悔しくて悲しくてたまらなかったけど。
でもそれでもレナさんから離れるのはもう無理だ。
居心地が最強にいいのを知ってしまったし。
飯もうまいし、会話のテンポもいい。
俺の知らない大きな世界で生きていて、興味をそそられるし。
気を全く使わなくていいし。
そんな彼女の側に居るには、俺は弟じゃないといけない。
あぁ、なんかもう一周回ってもうそれでもいいかなって思えてきたかも…
『んんんっ!』
運動不足の運動音痴っぽいレナさんは、一生懸命ペダルを漕いでる。
何かぎこちなすぎて、パワーがなさすぎて笑える。
いつも俺の何歩も前というか上を行く、なんでも出来るイメージの大人のレナさんが。
こんなバイクを漕ぐことすらままならずへばってるのを見ると、やっぱり姉には見えず非力な可愛い女性に思えてしまう。
絶っっ対、本人には言わないけど。
龍友くんは、この人を手に入れた。
レナさんは、龍友くんを手に入れた。
もう少し気持ちが楽になったら、何で龍友くんを選んだのか、教えてもらおう。
絶対躱されて教えてくれないだろうけど。