1月第4水曜日

Ryota


ヤローが集まって、ヤロー率が高ければ高いほどトーク内容はエグいってのはスタンダードなんだけど。



「騎"ピー"じゃないとイケない女とかマジでヤバイよな!」
「それ楽だし気持ちいいし最高じゃん」
「え、待って亜嵐くん、それ身近な人?」
「メンディーくんそれ聞いてどうすんの」
「メンさん狙う気?」
「なんでだよ!違うわ!」
「え、ホンマに亜嵐くんそんなんあったの?」
「それがさー、」



ジェネのメンバーだけで食事に来て、お酒がも入ってこんな状況。

まぁ俺もこんな話は別に嫌いじゃないけど、これ絶対世の中には出したらあかんやつやからね。



そもそもレナさんとの関係が事務所公認になった龍友くん以外のメンバーに、特定の彼女が居るのかあまり知らない。そんないちいち言わないし。
けど、みんなそれなりに好きな人が居たり夜を一緒に過ごせるひとが居たりするかは、こういう会話で感じ取ることが出来る。

みんな下ネタ大好きだけど、本命が居たらあまりにもエゲツない下ネタは無意識なのかいつもより控えてるし、まぁわかりやすい。


テレビで平気で下ネタ言う龍友くんでもプライベートではとても顕著。
最近こういう話題になっても自分の事は絶対に話さず、ツッコミだけ入れてわははと笑ってるだけっていうね。
彼女と直結されるのが嫌なんだろう。


そんな感じでいつもの流れだったのに、思いのほか下ネタトークが長続きしなかったのは、メンさんの"龍友はレナさんと結婚考えないの?"という、空気を読まない純粋な質問のせい。



「いやいや、ジェネ的に今はダメでしょ!」

という亜嵐くんの言葉に、隼もうんうんと頷く。

「結婚、するなら彼女しか居らんって思ってますけど、今じゃないっしょ」


いつもならメンさんのこういう紙一重な質問に対してまともに返さないのに、唐揚げを頬張りながらもサラッと男前なこと言った龍友くん。
ちょっと裕太くん、龍友くんのこと見過ぎ。


「何キッカケでそんなに覚悟決めたの?」


…メンさんのこの一言は捉え方によれば失礼なコトバだと思う。
けど、メンさんが言いたいのは、HIROさんにまで言って事務所公認にもなって自分の将来はこの人と歩むという宣言もするくらいに、どんな変化があったのか的なニュアンスのことだろう。


「それ言うてもいーですけど、先にメンさんの秘密も3つくらい暴露してくださいよ」
「何でだよ!」
「わははは!みんな引くくらいのメンディーくんのアレ言っちゃおうかなぁ〜」
「亜嵐くん、マジやめろって!どれか知んねーけど!」
「どんなけあるんすか。」




…質問に答えるつもりは無いらしい。


でも、何年も憧れて背中を追って間近で見てきたからこそ、龍友くんに本当凄い変化が起こってるのはわかる。



環境がそうさせたのか、彼女だからなのか。



「龍友くん、ねーちゃんとの子供、欲しくねーの?」
「は?!」
「だってあの人、それこそ10年も経ったら子どもとか産みにくいんじゃねぇの。」


…玲於もだいぶ酔ってるから、メンさんに匹敵するくらいとんでもないこと聞いてる。
龍友くんシラフだからね。怒るんちゃう?とヒヤっとした。



「…それは俺1人では決めれんから。レナがどうしたいかに委ねるつもり。」
「龍友くん子ども好きじゃん。」
「俺は欲しいよ。でも、レナはレナのやりたいことがあんねん。」


…龍友くんの、思いやる気持ちが本当にカッコいい。
…でも、同時に切なくもなる。



「龍友くん、俺が感じたことだから流せるんだったら流して欲しいんだけど。」
「何?亜嵐くん。」
「だいぶ未来に…それこそ10年後くらいに、龍友くんとレナさんが今のまんまだとしてね?」
「うん」
「龍友くんが子ども欲しいって言ったら、レナさん、別れを選ぶんじゃないかって。」
「…うん。僕もそう思うわ。」

「は?!えっ?!何だよそれ」
「そんなけ、レナさんてまず相手の人じゃん。好きな人がそれを望むなら、自分が応えれないなら理性的に手放すことが出来る人だよね。」
「…そうやな。」


…俺もそう思った。
だから、切なくなった。


「相手を気遣えるから、周りにいい人がたくさん居るんだよな、って思う。逆にいい人が周りに居て支えてくれるから、最愛の人と別れても生きていけると思っちゃってそうなんだけど。」
「…あぁ。」
「でも、それってねーちゃんが損してんじゃん。」
「恋愛に対してどうすれば損とか得とか思ってないんやろうな。だからこそ、ずっと一緒に居りたいし、居れる道を選ぶつもり。」



玲於の問いかけに対して、宣言するように。

龍友くんの男前さは、本物。
相方として…その前に同じ男として、こういうカッコいい人になりたい。


あ、裕太くん、感動したのか龍友くんに握手求めてるし。メンさんも。




俺にもいつか龍友くんみたいに思える人が現れるんだろうか。
現れた時に、龍友くんのような宣言が出来るような男になれているだろうか。




「一番結婚早そうなの誰、とかよく聞かれんじゃん。」
「あるねー。」
「早いの誰かイメージ湧かねーけど、遅いのは涼太くんだと思うなぁ。」
「え、ほんま?」
「あ、わかるかも。」




わかるわかる、と俺をディスり始めた年下2人にちょっとイラッとしてしまうあたり、まだまだ龍友くんのような男前にはなれないと思ったけど。



更新日:2018 01 21
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