「や、あの、ほんとごめん」
「後でなんか奢れよ」
「いや、もう、ほんと、はい」
「冗談だっつの」

いつもなら「はぁ?まじないわー」とか言ってくる梓だが、今回はかなり申し訳ないと思っているようで、さっきから小さくなっている。

「何かあったのか?」
「…は?」
「いつもあんな飲み方しねぇだろ」
「えっ、と…その…」

いつもなら喋りながら少しずつ飲む梓が突然あんな飲み方をしたのは昨日から気になっていた。疑問を本人にぶつけると、一瞬固まって唸り出した。ほんとにどうしたんだ、こいつ。

「ちょっと、ね…」
「ま、いいけどよ」
「あ、はは…」

本音を言うと、酔っ払った梓は可愛かった。さすがに同じ部屋で寝てたらいろいろまずいと思ったからベッドに押し込んだ。実際、ちょっとやばかった。…何がとは聞くな。

「他の男の前でやんなよ、あれ」
「あれって?」
「お前酔っ払うとすっげぇ大変だから」
「う、っ…はい…」

あの梓を他の男に見せられるか、なんて独占欲をそれっぽい理由で隠して、梓の頭を撫でる。昨日の酔っ払った梓を見て、うかうかしてられないと思ったからか、いつもの俺なら絶対しないことをやっている。

「こりゃ、重症だな…」
「なんか言った?」
「いや、なんでもねぇ」

もそもそと飯を食いながら、チラチラこっちを見る梓に疑問を感じながら俺も箸を動かす。

「あ、のさ…諏訪…」

珍しくこっちの様子を伺うように話しかけてくる梓にやはり疑問を感じながら返事をした。

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