「嫌いになったわけじゃないよ、友達に戻ろう」



なんて都合の良い言葉なんだろう。目の前で徹が無理して笑ってるのがわかる。うん、いいよ、なんてきっと思っていないだろうけど、嫌だと縋るようなこともしない。全部全部、私が弱いのが原因なんだ


「ごめんね、及川くん」

「友達に戻るだけだよね」

「うん...」

「大丈夫、だから泣かないで」


自分勝手な私にそんな優しい言葉かけないで、私はここで泣くわけにいかないんだって言い聞かせてもどうしようもなく溢れてくる。ごめんね、ごめんね、と言って泣いてしまった私は彼の目にはどう映ったのだろうか


「ほら帰ろう、みょうじさん」

「うん、及川くん」


泣いたことで霞んでしまった目の前の顔は、なんとなく私と同じように泣いているように見えた。そんな顔をさせているのは私のせいなのに、どうしても目が反らせなくてまた困った顔をさせてしまった


(ごめんね、ごめんね、)


何度謝っても謝りきれない。しっかりと彼が私のことを大切に思っていてくれたのは感じていたのに


(好きだったよ、徹...)





私の言葉はきっと貴方を縛り付けてしまう



2016.03.06