「なまえーお昼食べよ!」
「うん!あ、赤葦部長会議出てるからそこ借りちゃえば?」
「そうする」
お昼休みになるとぱたぱたと美月がやってきた。隣の席の赤葦は月1恒例の部長会議に木兎先輩と共に駆り出されている。それをいいことに机を向かい合わせて昼食をとる
「で、赤葦とはどうなの?」
「どうなのと言われましても...変わらず、だよ」
「ふぅん...あんた達お互いに結構わかりやすいと思うんだけどねぇ」
「なにそれどういう意味?」
「べっつにー」
美月がよくわからないことを言っているけれど、結局考えるのも面倒になってしまってやめた。でも、赤葦にも好きな人がいるんだろうか、なんて想像の内でしかないけれど頭の片隅に浮かんでしまってぐるぐると思考がかき混ぜられる。それからも美月と色々話していたはずなのに何も頭に残っていなかった
「みょうじ、どうしたの」
「あれ、赤葦、もう終わったの?」
美月が自分のクラスに帰り、うんうんと唸っていると元凶であろう赤葦が戻ってきた
「もうって...昼休みもう終わるけど」
「え、あ、もうそんな時間?」
「険しい顔してたけど体調悪いの?」
「違う違う!ちょっと考え事してて」
あなたの好きな人って誰ですか、なんてこの場では聞けず曖昧にはぐらかそうと思ったけれど、今日の赤葦は何故かぐいぐいと迫ってくる
「俺で良ければ悩みくらい聞くけど」
「大丈夫だよ、大した悩みじゃないし」
「結構深刻な悩みですって顔してたよ」
「そんなことはないです、はい...」
本当に?なんて何度も聞いてくるからつい口が滑っちゃったんだ
「ちょっとだけ、赤葦の、好きな人って...誰かなって、気になって」
少しだけ赤葦の目が見開かれて、頬が赤くなってる気がした。あぁ、そんな表情させられる相手が羨ましいなって思うのと同時に、そんな顔させられるのが私だったらいいのになんてどろどろとした気持ちまで現れる
「ごめん、気にしないで、なんでもない」
つい口走ってしまったことに後悔して走って教室を出た。教室の5限目はサボり決定だな....部活のときなんて言い訳をして赤葦に話そうか
「あんな顔されたら期待するだろ...」
なんて赤い顔をして赤葦が呟いていたことも知らずに私は屋上で悶々と考え込んでいた
2016.03.07
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