終わらせ方は知ってる
大好きだった。愛してた。

―終わらせ方は、知ってる。

静かに私はあなたの首にナイフを滑らせた。
スッと、あなたの首に赤い線が走る。
私は静かにあなたをみた。
金色の綺麗な髪。血の赤が良く映える。
もっともっと…
私はナイフをもつ。
あなたの首にそっと、ナイフを這わせればプツと音がする。

「大好きよ。ベル。だから…」
          死んで頂戴―

そう呟けば、うしし、と笑ってあなたは起き上がる。
起きてたの…私の声にあなたは私の首に手をかける。

「お前が部屋に入ってきたときから、起きてた」
「血、見ても大丈夫なの」
「どうだろーね」
「殺す?」
「うん」
「そう」
「愛してた」
「私もよ。だから、」

殺すの。
その言葉にベルはうししし、と楽しそうにほほ笑んだ。
まるでいつもの遊びのように。愛を込めて。
いつもの愛撫のように。愛を込めて。
力が籠められるその綺麗な手。
だんだんと強くなるその力に。
息ができない。息ができない。酸素が足りなくなる。足りなくなる。
息ができない。息ができない。息ができない。息ができない。息ができない。
息ができない。息ができない。息ができない。息ができない。息ができない。

「なあ、オレ…本気でお前のこと愛してたんだぜ?」
「ベ、ル…っん」

ベルは私に口づける。手にこめられる力はなおも強くなる。
息ができない。苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦し―

「      」

唇を離され、発されたその言葉を理解する前に、私の意識は闇に消えた。


―終わらせ方は、知ってる。
 (ただ、それ以外は知らなかった。)
 (永久に愛してる)
katharsis