私の個性は、戦闘向きではない。
もっと言ってしまえばヒーロー向きでもない。
雄英高校1-A
「名字ちゃん、おはよー」
『おはよー、お茶子』
プロヒーローを目指す為の養成高校。
入学してからもう数ヶ月が経った。
「オイ!モブ女!オレの前に立つんじゃネェ!!」
目付きも口も悪い彼は同じクラスの爆豪勝己。
クラスの中で成績はトップ。
だがしかし素行が悪い。私はこいつが大嫌いだ。
『あんたがどっか行けば?』
あっかんべーと私も嫌味を返す。
やられたらやり返す。
「アァ?やんのかコラァ?!」
Booom!!
逆上した爆豪はボンッボンッと爆発をおこす。
それをみた私もハァァと深いため息をつき彼に身体ごと向きなおす。
『ねぇ、あんたまだわかんないの?』
「没個性のくせに生意気なんだよ、気に入らねぇ」
個性をばかにされた事で、
腹の中からボコッと怒りが沸き上がるのを感じる。
『その個性に何度もやられてるのにね?』
バカにしたように笑ってやれば、
怒り巻かせに飛びのんでくる爆発。
「あわわわ、また喧嘩や〜」
側でみていたお茶子も肩を落とす。
「しねぇぇぇ!!」
飛び込んでくる爆豪を持ち前の運動神経でひらりと交わし、
その肩にポンッと手を触れた。
(勝った)
私は心のなかでほくそ笑む。
『爆豪』
「っっクソッ!!」
私の掛け声でピタリと止まる彼。
『こっちにきて』
しょぼくれた子犬のようにトボトボと歩き出す爆豪。
目の前までくるとハッと鼻を鳴らしながらも私を見つめる。
『ごめんなさいは?』
「わ、悪かったよ!クソッ」
と同時にクラスから沸き起こる活性と拍手。
「何回みてもなれないなぁ。あのかっちゃんが大人しい姿なんて」
口元に手をあてて目をぱちくりさせる彼の幼なじみの緑谷出久。
「そういうプレイもありだな!俺にもその個性使ってくれよー!」
峰田はうるさい、黙れ、ブドウ頭め。
私の個性は“魅了”
触れた人に効果を発揮する。
ようは私を好きになるってことだ。