Chapter9 〜流転〜





異空間から出ると、丁度日が昇るところだった。


「綺麗…」


「わぁ、本当だ凄い凄い!玲ちゃん、飛ぼうよ!」


やちるが耳元で騒ぐも、玲はふっと空を見上げた。


「今日は駄目かな?」


その言葉とほぼ同時に。

尸魂界の空に穿界門の様な穴が開いて。

複数の霊圧が琉魂界の方へと降りて行った。


「おやおや。また旅禍かい?」


仕方なさそうに頭を掻く京楽。


「そう言えば…総隊長に頼まれていた文献、忘れておったな」


今思い出したと呟く白哉。


「あれ、そんな事頼まれてたんだ。手伝おっか?」


「今からでは間に合うまい」


玲の言葉に首を振り、警報が鳴り出した瀞霊廷を見下ろす。


「まぁ、此処に来ちゃったのなら、情報は得られるけどね」


「ならば総隊長の元へ行くか。隊主会も開かれるであろう」


その言葉で、隊長達はその場から瞬歩で消えた。


「行っちゃった…。桃ちゃん、ななちゃん、私達も行こう?」


「え、何処に?」


「剣ちゃんたちが戻って来たら、すぐ動ける様にしなきゃ!」


「その通りですね。会長は偶にまともな事を仰います」


「ななちゃん!やちるだって考えるんだよ?」


「それは…玲さんの指導のお陰でしょうね」


躍起になって噛み付くやちるに、七緒はくすりと笑って、瞬歩で消えた。


「あ、待ってよ!ななちゃん!」


「え、やちるちゃん!」


その後を追う様に、やちると桃も隊舎へと戻る。

玲の予想通り、慌ただしい一日が幕を開けたのだった。


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