Chapter13 〜神威〜





それから数日。否、洞窟内では数十日。

手の空いた白哉と冬獅郎の指導も有ってか、全員が霊圧コントロールを霊子集束装置を扱えるまで習得し。

副官達は卍解の修行へと進み。

隊長達は斬魄刀を具現化させ、屈伏させる事をそれぞれの意思で選び、元流斎と砕蜂は今や具現化させた斬魄刀を連れて歩いている。

魂を与えた斬魄刀は、主が戻れと言えば刀に戻るが、現れる時は何時も突然らしく。

一々周りが驚いて臨戦態勢になるのも面倒だという事で、冬獅郎も白哉も、氷輪丸と千本桜を好きにさせていた。

それが、私にとっては少し困りものなのだけれど。


「冬獅郎、入るよ」


私が、どうにもならない書類は六番隊か十番隊の隊長宛に送れと言ったからか。

此処には毎日の様に三番隊、五番隊、九番隊からの重要書類が舞い込んで来る。

お陰で仕事が増えて機嫌が悪い冬獅郎の手伝いに、此処毎日通っていた。

本人達に、何故六番隊に送らないのかと聞いた所、とてもじゃないがそんな事出来るわけが無いと返事があったから、全部此方に来てしまってるんだろう。


「今日の仕事…っ!氷輪丸!」


「何故避ける。私が嫌いか?」


「今のはどう考えても、捕まえるつもりだったでしょう?」


きょとんと瞬きをしてみせる翡翠眼に蒼髪のこの男は、毎回会う度に私を捕らえようとする。

何故だと聞けば、それを主が望むからだと。

縄に付いて何処にも出ず、只主人のために其処に居ろと、無茶苦茶な事を口走るものだから、捕まるわけには行かない。

その主たる冬獅郎はそんな事、望んでも無いと一蹴しているのだから尚更だ。

最初に氷輪丸のそれを聞いた時顔を真っ赤にして、俺は変態か!と怒鳴る彼は見ていて面白かったけれど。

何か色々と履き違えている気がする彼は、


「氷輪丸、お茶淹れて」


「分かった」


こうして隙を見せずにいれば、大人しく従ってくれるから悪い事ばかりでは無いのだけれど。

因みに彼等が離れていても、持ち主たる死神は始解も卍解も可能な様だ。

離れている彼等も同様に同じ力を扱える。

簡単に言ってみれば、隊長格の力を持つ者が二人に増えた様なもの。

具現化していない時と、している時、全く同じ力量なのかと言えば、そうでは無いらしいのだけれど。

偶に斬魄刀に任務さえ任せていると言うのだから、彼等の順応性は凄まじいと思う。

只、少し騒がしいのが難点なだけで。


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