狡い男を赦しておくれ


無理矢理描写があります

「だ、ざいさん……?」
細部まで拘っていると胸を張っていた美しい衣服は所々で破け、紫月の姿が視界に入った後も飛びついたり明るく柔和な声を掛けることもなく血の気のない顔の太宰は虚ろな瞳に紫月を映し、ただ黙して質素なベッドに横たわっていた。

「敵さんからええ攻撃をぎょうさんもろて参ってるみたいでな。太宰クンが妙な気起こさへんよう見とってもらえる?」
「は、はい!私にお任せ下さい!」
三つ編みを揺らして部屋を出ていく織田を見送った直後、布団から伸びた手が紫月の腕を掴んだ。
痣になってしまうのではないかと思うほど強い力で腕を掴まれ、紫月の眉間にも深い皺が寄る。
どうすることも出来ないまま、彼女の体はベッドの中へ引きずり込まれた。
背中を強打し、とうとう瞳から涙を零し始めた紫月の涙を舐め取る太宰の瞳に一切の光はない。

「な、にするんですか……」
「オトコとオンナがベッドの上でする事と言えば1つでしょ。なになにー?もしかして紫月ちゃんこういう経験なかったり?」
太宰の言葉でカッと紫月の頬が色付いていく。
その間にも太宰は彼女の脚の間に自身の体を捻じ込み退路を着々と潰していく。

「俺、今猛烈に首を吊りたくて仕方ないんだよね。他の事で気を紛らわせる事が出来るならその衝動もどうにかなりそうなんだけど……」
ダメならもう吊るしかないよなーと言葉を付け足す太宰は分かっている。優しい彼女が首を振らないであろうと。
ましてや文豪1人の命がかかっているのであれば。

白々しく言葉を連ねる太宰に紫月は一筋の涙を流した後「……太宰さんの、気が紛れるのなら」と一言。蚊の鳴くような声で返事をした。
その言葉を待っていましたと言わんばかりに太宰の唇が乱暴に紫月の唇を奪い、衣服を破かん勢いで剥いでいく、
ぬるりとした舌に口の中を荒らされ、中途半端に脱がされた下着から零れる胸をこね回される紫月の頬をまた一筋の涙が伝う。
それを拭う優しい手はどこにもなく顎にまで流れた雫はシーツの染みに成り果てた。


prev next
[back]
極夜