12 恋する覚悟




苦しそうに息をする名前ちゃんに、温かいきつねうどんを作ってやった。って言っても、俺は市販のアルミに入った即席きつねうどんを温めただけなんだけど。

「熱高いなー」

名前ちゃんから体温計を奪うと、名前ちゃんは苦しそうに呻く。昨日海岸でひとしきり泣いた名前ちゃんをおぶって、俺は名前ちゃんを家まで送り届けた。心配で勝手に名前ちゃんの家に泊まっちゃったけど、泣き疲れた名前ちゃんに手を出すことも出来ず、気が付けば朝。そして案の定名前ちゃんは風邪を引いた。

「ほーら、食べる?」
「ん、いらない…」
「ダメ!食べないと元気にならないんだからな、薬も飲まないと明日出社すんの難しいぞ!」

俺が少し名前ちゃんを叱ると名前ちゃんは「うー」と呻いた。かわいいけど、ダメ!お兄ちゃんは許しません!俺が名前ちゃんの身体を起こしてやると、名前ちゃんは熱に浮かされたようにとろんとした瞳で俺を見つめた。やべ、タッティだわ。今の俺完全タッティ。

「ふーふーして食べるよ。はい、あーん。」

俺が名前ちゃんの口元にうどんをもってきてやると、名前ちゃんはぱくりと一口食べた。超かわいい。それから幾度となく「あーん」をしてやる。名前ちゃんは無言でぱくりぱくりとうどんを食べたので、超絶可愛かった。はぁー俺片思いでも最高に今幸せだから良いわ。別にいいんだ。名前ちゃんが別のやつを好きでも。ただ嫉妬はするけど、俺が名前ちゃんの側に居れればもう何もいらないわ。

「おそ松…なんかお兄ちゃんみたい。」
「まー、一応長男だから。」
「いいな、お兄ちゃん…私欲しかった…」
「名前ちゃんが、お兄ちゃん欲しいって言うなら、俺名前ちゃんのお兄ちゃんになっちゃうよ!」
「要らない。」
「……名前ちゃんのどエス!」

俺の手から薬をもらい、飲み干すと名前ちゃんは再び横になる。弱々しい名前ちゃんも妖艶でまた美味しそう…と、俺はあらぬ妄想をしてニヤニヤする。名前ちゃんは背を向けたまま、横になっているため、俺は名前ちゃんの身体に覆い被さった。

「お兄ちゃんをいじめたら、いけないんだよ?ね、わかる?」

ギシッとベッドが軋み、俺は名前ちゃんの顔を除きこむが、名前ちゃんは既に寝ていた。早いよ名前ちゃん…俺タッティなのに、すぐに寝るとか!!まー病人だから仕方ないけど!

「ん…」

小さくハァハァと息をする名前ちゃんは苦しそうで、俺は額の汗を拭ってやった。パジャマは汗を吸って、しっとりと濡れている。かなりエロい…じゃなくて!俺は引き出しからパジャマを引っ張り出し、ついでにパンティも一つ拝借した。これは看病代というわけで、悪く思わないでね、名前ちゃん。俺はパジャマをそっと脱がせる。名前ちゃんの汗ばんだ胸を見て、思わず自身が大きくなるのを感じた。

「…ごめん…!」

タオルで汗を拭いてあげる。そのせいで胸の膨らみに触ってしまった。柔らかくて甘い匂いがする。くらくらしながら、しっかり胸を掴んで触ってしまった。看病という名のセクハラだが、致し方ない。やわやわと胸を揉みつつ、名前ちゃんの身体を拭き、上半身のパジャマを着せてあげた。名前ちゃんは気持ち良いのか、俺に身体を預けっぱなしで、正直俺が不安になる。名前ちゃん、俺みたいなやつに騙されちゃだめだ。ホント。

スルリとパジャマのズボンに手を伸ばし、パンツもズボンも脱がせた。名前ちゃんのあられもない姿を見た俺は、興奮が押さえきれず思わず大事なそこに舌を這わせた。甘い蜜の味がして、もっともっとと舌をねじ込む。名前ちゃんが身体を捩ったので、俺は一度顔をあげた。

「(な、何してんの俺…!)」

ホント犯罪だし、俺も熱に浮かされ過ぎ!俺は素早く名前ちゃんの下半身にパンツを履かせ、ズボンもちゃんと着せてあげた。はぁ、もう俺の方が重症だ。名前ちゃんが好き過ぎて、我慢するのが辛い。

「も、ムリ…!」

ベッドに眠る名前ちゃんの柔らかい唇を吸い、何度も何度もキスをした。看病するにはお金も発生しますから、これは看病代と思ってね名前ちゃん。

俺だって、名前ちゃんと両思いになる夢をずっと願ってるわけだから。









***










「………どういうこと?」
「いやぁ、これは…へっぷし!」
「い、意味が分からない!何これ!おそ松は何考えてるわけ!最低!」

名前ちゃんは目覚めるなり、俺に対して怒りを露わにする。それはそのはず。だってベッドの中で裸で俺に抱き締められてたから。……結局身体を温める名目上、名前ちゃんを裸にさせ、俺も裸になり身体を温めた。うん、身体を温めただけなんだけど。最高に幸せだよね。好きな女の子の裸見れて、最高。

「もうヤダっ!最低!帰ってバカ!」
「わっ、違うってば!これはっ…っくしゅん!!」
「こんな風にされるなんてもうおそ松のこと嫌い!」
「名前ちゃんの身体を温めたくて!」

ってか、俺名前ちゃんに風邪をうつされたっぽい。さっきから目とろんとするし。くしゃみ止まらないし。それとは反対に名前ちゃんは熱も下がったようでしっかりした眼差しで俺を見つめていた。良かった…可愛い名前ちゃん。俺は名前ちゃんをぎゅうっと抱き締めると、名前ちゃんはおとなしくなる。もう、決めた。俺、遠慮しない。名前ちゃんのこと本気で好き。

「熱下がったから、良かった…」

耳元で吐息混じりに囁けば、名前ちゃんは肩を震わせた。ぱくりとこのまま名前ちゃんの耳を食みたいけど、それも我慢だ。

「俺、これから先遠慮しないから。俺は名前ちゃんが好き。それに、一人にも絶対させない。」

名前ちゃんの身体の力がゆるゆると抜けていくのがわかった。甘い匂いが名前ちゃんの全身からして、俺はもう名前ちゃんの身体を離したくなくなってしまう。

誰を好きでも、良い。俺はずっと君しか見ていないから。

「名前ちゃん、好きだよ。」





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