一緒に地獄まで
「ねぇ、露遊」
「姫葵?」
白で統一された姫葵の部屋。
ロミオとジュリエットを読み終えた姫葵が本を閉じて露遊を見た。
美しい芸術ともいうべき姫葵。
「ロミオとジュリエットは幸せだったのでしょうか」
「悲劇でも美しい終わり方だよ、ロミオとジュリエットは」
「…わたし達もロミオとジュリエットですね」
「どうして?姫葵」
「美しい終わり方をしたいのです」
儚く微笑む姫葵。
露遊はそっと隠し持っていた彼女の瞳と同じ色の銃を出した。
「終わろう、一緒に」
「えぇ」
姫葵は真っ白い銃を取り出す。
彼女にふさわしい終わり方。
もっとも美しさを留めた終わり方をしよう。
「3、2、1…」
お互いの心臓に向けて数える。
「ゼロ」
響く二つの銃声。
血飛沫が真っ白の部屋に飛び散った。
美しい終わり方、それはお互いにすぐに終わることだった。
永遠に愛を閉じこめたまま。