狂気と媚薬


 

瑠歌は愛鳳の不在時にはViceのメンバーのちほ、五十鈴、影の誰かがつくのだが、そのうちの誰でもなく今日はベビーピンクの髪と瞳をした少年がついた。
その面影は愛鳳に似ていて、華奢な肢体は黒を基調とした服に包まれている。
彼は瑠歌を見るとぺろり、と唇を舐めてこう言った。


「愛鳳もずるいなぁ、こんなに可愛い子をボクに隠しておくなんて」

「貴方は誰なのよ!?愛鳳はどこ?」

「愛鳳は出かけてるよ、ボクは閻凰。イエンって呼んでね」

「……イエン?」

「そう、愛鳳がレンって呼ばれてるように僕にも通称があるんだ」


閻凰はそう言って、押してきたワゴンのクロスをとってミルクティーを用意し始めた。
瑠歌の好きなミルクティー。
愛鳳から瑠歌の好みを聞いているようだった。
そして、お菓子はバターの香りのするクッキー。
愛鳳が作ったものであろうそれには小さなメッセージカードがつけられていた。


“瑠歌に小さな幸せを 愛鳳”


そう書かれたメッセージカードを見て、瑠歌は彼女がわからなくなる。
自分を閉じこめておきたいのか、縛り付けておきたいのか。
それとも−−。


「瑠歌、考え事?」

「貴方には関係ないわ」

「つれないなぁ、ボクのことは愛鳳だと思ってよ」

「思える訳ないでしょ?貴方は男よ!」

「思えるよ、ボクと愛鳳は双子だもの」

「双子…どうりで似ていると思ったわ」


ミルクティーを口にする瑠歌。
少し落ち着いた頃、身体が火照ってきた。
この洋館は完璧に管理されていて、暑くも寒くもないはずなのに、暑い。
身体の中心が疼いてくるような、まるでそう。


「イエン、貴方何か盛ったわね…?」

「ご名答、媚薬を少し、ね。愛鳳からのプレゼントだよ」

「とことん趣味が悪いわ、さすが愛鳳ね」

「愛鳳にはほめ言葉さ」


そう言って、瑠歌をベッドに押し倒す。
中心に性急に触れれば、卑猥な音が鳴る。
指をバラバラに動かされ、瞳をぎゅっと閉じる。


「瑠歌、気持ちいいのです?」


愛鳳の声と口調をまねされて、背筋が泡立つ。
可憐な見た目によく似合う鈴が転がるような可憐な声。


「あい、ほう…ひゃん!」

「ふふ、瑠歌。ここが気持ちいいんだね、かわいいよ」


ある一点を集中的に攻められて瑠歌の身体が跳ねる。
そのまま上り詰めてはぜる。
肩で息をしていると閻凰のものが入り込んできた。


「っああぁ!!」

「きっつ…、もしかして瑠歌初めて…?」

「…あ、なたには、…かんけ、ないぃっ!!」


そのまま突き上げられて、あられもない声をあげる。
連れてこられた時には短かった髪はすっかり伸びてベッドに広がる。


「っは、…関係あるよ?瑠歌はボクのものだもの。愛鳳になんて返さない」


閻凰はそう言うと突き上げる速さをあげて、瑠歌にささやいた。


「そうだよ、瑠歌。愛鳳になんて返してあげない」


Fin...

 
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