最愛の恋人
露遊は愛鳳を、愛している。
たとえ、世界のすべてが彼女の敵になろうとも愛しているほどに。
愛鳳はベビーピンクの髪と瞳を持つ少女だ。
漆黒のゴスロリから赤を基調とした制服に着替えた彼女は美しさを増す。
双子の妹、瑠歌を愛するために彼女が特注したものだった。
どんなに露遊が愛鳳を愛しても彼に視線が向くことはなかった。
そして、その口から溢れるのは瑠歌への愛。
「露遊、聞いてください。今日の瑠歌は一段と可愛かったのです」
「ボクにとっては愛鳳、君より美しい子なんていないよ」
「ふふふ、お世辞が上手ですね」
「お世辞じゃないよ、ボクは君を愛している。それは変わらないよ」
「……何度も申し上げますけど…露遊。わたしが愛しているのは…」
ベビーピンクの長い睫毛を伏せて答えを紡ごうとする愛鳳の唇を塞いでから気を失わせた。
彼女の口から溢れるのは瑠歌への愛ではなく、自分への愛でなくてはならない。
「愛しているよ、愛鳳」
*
「ん…」
愛鳳が目覚めるとそこには、双子の弟、閻凰の姿もあった。
自分と瓜二つの閻凰が唇に笑みを浮かべている。
「さすがだね、露遊」
「露遊、どういうことなのです?」
「可愛い愛鳳をずっと見ていられるように、ね。君が瑠歌にしていることをしたんだよ」
着ているのは、瑠歌を愛するために彼女が着ていた赤を基調とした制服。
瑠歌とお揃いの、それ。
いつものゴスロリではない。
「露遊…」
「愛しているよ、愛鳳。どうしようもないくらいに」
そうして、触れられる手、唇、頬、額。
甘やかな愛撫に愛鳳はたちまち堕ちていった。
それから、数ヶ月が経った頃。
閻凰は瑠歌を愛するようになっていた。
この部屋に二人の愛を邪魔する者はいない。
「つ、ゆ…あいしています」
「愛しているよ、愛鳳」
優しく触れられる。
彼なしでは生きていけない。
愛鳳は降ってくる口づけに幸福を感じていた。
Fin...
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